オリンパス(OLYMPUS)の「ライブND機能」をE-M1 Mark IIIで使用しています。NDフィルターを使用せず擬似的にスローシャッター効果が得られるかなり便利な機能。撮影現場でNDフィルターを持っていなくても、滝や川の流れを低速シャッターでシルキーに表現出来ますよ。今回は本機能の設定方法及び使い方をサンプル画像を交えながらレビューしていきます。
ライブNDとは?
シャッター速度を抑えたい(スローシャッター)時、通常はレンズにNDフィルター(減光フィルター)を装着します。一方の「ライブND」は「NDフィルターを装着せずとも装着したのと同等の効果を疑似的にカメラ内で生成してくれる機能」です。
実際のフローはシャッターボタンを押すと連写で複数枚の画像が撮影され、これらがカメラ内で自動合成⇨スローシャッター撮影効果を疑似的に得ることです。
そもそもに「ND」とは?
NDフィルターの”ND”とは”Neutral Density“「中性濃度」の意味。フィルターの光学濃度を高くすることにより光量を落としてくれるフィルター。要は「色彩に対する影響はなるべく抑えつつ、透過光のみ落としてシャッタースピードを遅らせる」ということです。NDフィルターの効果については以下の記事でご紹介していますのでよろしかったらご覧ください。
不精な私はフィルターを持たずに撮影に出掛けることが多いのですが、無いときに限ってNDフィルターを使用したくなることが・・・。こんな時にオリンパスの「ライブND」機能は結構頼りになる存在。「ライブND」の凄いポイントを以下にまとめました。
ライブNDのここが凄い!
設定方法 E-M1 Mark IIIの場合
注意点
AやPモードだと【ライブND撮影】の項目がグレイアウトで使用出来ない
【撮影メニュー 2】⇨【ライブND撮影】を選択し、【On】を選択
ND段数設定
ここでスローシャッター撮影の程度を設定します。冒頭にも書きましたが1段(1EV)〜5段(5EV)の設定が可能です。
【ND段数】で任意のND段数を選択します。
LVシュミレーション設定
この機能を【On】にすることにより、「ライブND撮影」する際の減光効果を擬似的に確認することが出来ます。
- 【On】設定されたND段数に応じたシャッタースピードでの画像が表示
- 【Off】通常のシャッタースピードで画像が表示
【LVシュミレーション】の設定
【ON】の場合
【LVシュミレーション】の設定
【OFF】の場合
「LVシュミレーション」は一度は【ON】でお試しあれ。仕上がりが擬似的に確認出来て面白いです。何度か撮影していると大体感覚が掴めるので、後は【OFF】で良いと思います。
【OK】ボタンで確定していき最後に【ライブND撮影】の項目が【ON】になっていることを確認。
設定したつもりでも意外と【OFF】になったままなので要注意
カメラが多機能になってくるとメニュー階層が深くて設定がちょっと大変だね。良く使う場合は「カスタムモードC」にカスタム登録しておこう!
試写
作例と言うよりは単なる試写データをご覧下さい。近場の沢で撮影しました。大体の雰囲気はつかめるかと思います。
(画像をクリックするとFlickrで拡大画像がご覧になれます。)
ND効果なし M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS0.8 ISO100
ND2 (1EV) M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS1.6 ISO100
ND4 (2EV) OLYMPUS M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS3.2 ISO100
ND8 (3EV) M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS6 ISO100
ND16(4EV) M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS13 ISO100
ND32(5EV) M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS25 ISO100
今回は三脚を使用しましたが、オリンパス機は手振れ補正が強力なので今回の撮影状況であれば手持ちでND2(頑張ればND4)で撮影できるのは凄いことですね。
(基本的には三脚の使用をお勧めします)
ND32(5EV) M.12-100mm F4.0 ƒ/8.0 57.0 mm SS30 ISO100
NDフィルターを併用し「ライブND」撮影も可
NDフィルターを装着して「ライブND」撮影も可能。ピーカンの中ND8だけだと減光が不足する場合も有るんですよね。そんな時「ライブND」を併用して撮影出来るのはかなり便利。
ND16(ND8フィルター装着)M.12-100mm F4.0 ƒ/11.0 57.0 mm SS60 ISO100
ND8フィルターを装着し「ライブND16」の設定で撮影。実質な減光値は8×16=ND128相当になるのですが、SS60秒でかなりシルキーな描写に。では「ライブND32」と併用したらどうなるのか?と疑問が出てきますが、「ライブND」撮影のシャッタースピードの限度は60秒。今回の撮影状況では「ライブND32」ではやはり60秒で終了になってしまいます。
ライブNDで撮影したかどうかは「Olympus Workspace」で確認出来るよ!
まとめ
擬似フィルターなので色被りの影響が無い
通常のNDフィルターを使用する時に心配になるのが「色被り」です。段数やメーカーによってもかなり色の被り方が異なる場合が有り悩ましい問題。以下の2枚は極端なサンプルですが(上)ND1000(下)ND400を装着して撮影したもの。フィルターはそれぞれ別のメーカーです。
ND1000使用
かなり青味のある描写に
ND400使用
アンバー寄りに色が転んでいる
通常のフィルターを使用した場合、現実の色合いとはかなり異なった出力になりました。一方「ライブND」であれば物理的なフィルターの影響を受けずに撮影することが可能です。
この辺は描写の好みにもよるのですが、かなりのメリットと言えるでしょう。この機能はオリンパスの強みなのですが、他のメーカーさんのカメラにもこの機能の搭載を切に願ってしまうのでした。
NDフィルターの携帯・装着からの解放
写真を普通に楽しむ方の場合、一般的には様々な種類のフィルターを持ち歩かないケースの方が多いと思います。自分も最近はレンズ保護フィルターを装着する位なのですが、フィルターの取り外しは結構面倒な作業だったりします。これがメニュー操作だけでND効果が得られるのは至極便利。
趣味の撮影であれば全然使える(と思う)
コンポジット処理によって不自然な画像が生成される可能性が一つの懸念材料でした。しかしながら、今回の川の流れの撮影では特に不自然な印象は受けず、むしろ手軽・便利さの恩恵の方が大きく上回る結果に。単なる「あったらイイな」的な便利機能ではなく、デジタル撮影ならではのメリットではないでしょうか。「ライブND」は今後様々なシチュエーションで積極的に活用したい機能です。
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