撮影時に常備するフィルターの一つにNDフィルターがあります。濃度により様々な種類があり、私の使用頻度が高いのがND400。最近更に濃度の高いND1000を購入しましたので両フィルターの使用感を実写を交えながらお伝えしていきます。
日常のを非現実的世界に変えて写すのも写真の醍醐味。NDフィルターを使用することでいつもとは違う世界が見えて来ますよ!
NDフィルターについて
まずはNDフィルターにつていて簡単な解説を。
NDフィルターの”ND”とは”Neutral Density“「中性濃度」の意味。フィルターの光学濃度を高くすることにより光量を落としてくるフィルター。要は「色彩に対する影響はなるべく抑えつつ、透過光のみ落としてシャッタースピードを遅らせる」ということ。
以下は代表的なNDフィルターの種類です。
ND4 | ND8 | ND16 | ND32 | ND64 | ND400 | ND1000 | |
光量 | 1/4 | 1/8 | 1/16 | 1/32 | 1/64 | 1/400 | 1/1000 |
結論としては、ND1000を使用すればSS1/1000が適正露出の被写体をSS1に遅らせることができるということになります。
一定の条件(EV14 屋外 晴天)の元、フィルター有・無でシャッタースピードの比較をしていみましょう。
〈フィルター無し〉
ISO | 絞り | SS | 備 考 |
100 | F8 | 1/250 | 晴れ(EV14相当) |
⇩⇩⇩
〈ND1000装着〉
ISO | 絞り | SS | 備 考 |
100 | F8 | 4 | 晴れ(EV14相当) |
ND1000の装着で何と4秒のシャッター解放が可能になります。
因みに同条件でND400を使用した場合は1.6秒。昼間で1.6秒稼げるのも凄いのですが、ちょっと物足りない時もあるんですよね。4秒もあれば昼間の晴天時に滝の流れをシルキー表現できそう。私の場合35mmカメラではF8~11での撮影が多いのでND1000の恩恵は大きくなります。
因みに画質の劣化が許されるのならフィルターを重ねて装着する選択肢も。ND16とND64を重ね付すれば(16×64=1024)でND1000相当として使用可能です。
基本的にはフォーカス一旦合わせてからNDフィルターを取り付けます。しかし今回メインで使用した機材α7RⅢではND400・ND1000共にAFが可能でした。さすがに動体撮影は無理ですが、風景や静物撮影であれば完璧ではないにしろ十分AF撮影が可能でした。
参考までに「フィルター無し」・「ND400」・「ND1000」状態での写真をご覧ください。
❶フィルター無し
❷ND400 【Kenko NDフィルター ND400 プロフェッショナル】
❸ND1000【Neewer NDフィルター 超薄型ND1000】
本当は滝の写真が有ればよかっのですが、地味目な近場の港の写真で失礼します。天気も悪いのですが・・・どうぞご容赦を。
1枚目の「フィルター無し」の写真と比較してNDフィルターを装着した2・3枚目は波が消されていることがお分かり頂けるかと思います。
❷・❸の写真ではシャッタースピードもそれなりに変化しているのですが、今回比較してみて面白かったのが出てくる色合いがかなり異なること。この手のフィルターは非装着時と装着時で色合いが異なる場合があるのですが(ある程度は仕方がない)、❸ND1000はかなり色合いが青寄りに転んでいます。自分の場合、高濃度NDフィルターでは風景・スナップ撮影がメインなのでクールな色合いも好きなのですが、困る方もいらっしゃるかもしれませんね。
晴天時の写真でももう少し確認してみましょう。
❶フィルター無し
❷ND400 【Kenko NDフィルター ND400 プロフェッショナル】
❸ND1000【Neewer NDフィルター 超薄型ND1000】
やはり❸ND1000はかなり青味が強いですね。趣味性の高いフィルターなので撮影後は画像処理を前提で撮影しています。個人的には問題無しということで。
今回使用したNDフィルター
Kenko NDフィルター ND400 プロフェッショナル
元々使用していたND400です。気に入っていて撮影時の常備品ですが、撥水コーティングタイプではないので汚れが付着すると落とすのが大変・・・というか自分クリーニング技術では落とし切れませんでした。今では気にせずそのまま使用していますが。
ご参考
どうしても汚れに強いフィルターが欲しいという方はND500ですが下のタイプもあります。
Neewer NDフィルター 超薄型ND1000
今回新しく購入してみたのがこちら。
こちらの製品を選んだ理由は価格が安いのと、薄型フィルターだったから。勿論光学的に良くないのですがフィルターを重ねて装着する場合にも都合が良さそうだったからです。
フィルターサイズは77mmを選定
フィルター径は勿論使用するレンズに合わせて選ぶのがベスト。ただし大は小を兼ねるの考えで、大きなレンズに合わせてステップアップリングを併用するのも有りです。但しフィルター径の差が有りすぎると合わせるのも大変なので程々に。
あまり汎用性の無いフィルターを使う場合にステップアップリングが有ると便利です。
自分の場合、超望遠レンズは別としてフィルター径は最大82mmですが、常に使用しているのは77mm以下が殆どなので今回は77mmを購入しました。メーカーによっては82mmがラインナップされていない場合も有るので注意が必要です。
作例
海辺にて 撮影地:宮城県七ヶ浜町
シャッタースピードが5秒も稼げると、波の表情をかなり面白く捉えることができます。
ND1000
ND1000
モノクロ写真 B&H
撮影時にモノクロ写真をイメージして濃度NDフィルターを使うのもまた楽しいですよ。
ND1000
ND1000
スナップ撮影 街中
約1秒のシャッタースピード行き交う人々の動きをキャッチ。昼間でこの様な写真が撮れるのは高濃度NDフィルターならでは。
ND400
ND400
スナップ撮影 乗り物
カッコ良すぎたので撮影させて頂きました。オーナー様どうもありがとうございます!
ND1000
ND1000
まとめ
以上ND400とND1000のレビューでした。
見慣れた世界を非日常世界に変えてくれるNDフィルター、使用すれば撮影の楽しみが一段と増すことは間違いなしです。
三脚・レリーズの使用は必須ですが、実は面倒であまり好きではないんですよね・・・。最近のカメラは手振れ補正機能が進化しているので、センサーサイズの小さい機材で工夫すれば1秒以内は手持ちで撮れるかな・・・なんて淡い期待も抱いている昨今です。
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