今回は写真展(個展)を開催するにあたって作品の作成方法と展示方法について書いていきます。
写真展の企画段階や会場の選定方法についてはこちらでご覧ください。
写真展(個展)を開こう!【その1】 企画・予算組み〜会場の手配まで
まずは展示作品の作成方法から検討していきましょう。
プリントはプリンター or プロラボ?
作品の作成にあたって、家でプリンターを使用して作成するか、ラボに頼むか悩むところですね。私たち夫婦が今回開いた写真展では、プリンターを使用しました。使用したプリンターはEPSONのSC-PX5VIIです。
作品作成にインクジェットプリンターを使用した訳は?
個展を開く以前に何回かグループ展を開催していました。初回は皆分からないことだらけだったので、参加者全員プロラボにプリントと裏打ちをお願いしました。
2回目からは殆どのメンバーがプロラボではなくプリンターの使用になったのですが、大きな理由としては以下の2点でした。
- 期待していた仕上がりではなかった。
- 印刷用紙が1種類しかなかった。
- 最大展示サイズがA3ノビだったので画質面でも自宅でも対応出来そうだった。
1.に関してはラボの技術が良くなかった訳ではなく、依頼者とラボの技術者の間の意志の疎通が上手くいかなかったことです。普段から懇意にしているラボの技術者さんでしたら、好みの雰囲気を上手く咀嚼して出力してくれるのでしょうが、一見さんの私達にとっては難しいハードルでした。
2.に関してはラボが対応出来る用紙がクリスタル系の1種類しか無かった為です。風景写真のみなら問題無いのですが、モノクロやスナップ写真もあったので残念ながらプリンターでプリントをすることになりました。
3.に関しては、展示するサイズが最大A3ノビで家庭用プリンターで対応出来ることと、色調もラボの出力と遜色なかった為です。
この様な理由で私たちは自宅のプリンターで印刷することになりましたが、懇意にしているプロラボがあり、満足しているのならラボに願いするのは全然アリだと思います。以下にプリンターとラボのメリットデメリットをまとめました。
プリンターのメリット・デメリット
○メリット
- 自分の好みの色調・トーンで出力が可能
- 多彩な種類の用紙が選択可能
- 期限に縛られることもなくプリント作業が可能
△デメリット
- 高性能プリンターは本体とインクのコストが高い傾向がある
- PC上での画像処理の手間がかかる
- ディスプレイを印刷用に最適化(キャリブレーション)する必要がある
プロラボのメリット・デメリット
○メリット
- 印刷の手間が省ける(手軽)
- 印刷から裏打ち・額装まで行ってくれる場合も
- 納得できれば何と言っても高品質
- プリンターを持っていなくてもOK
△デメリット
- 自分の希望がラボ側に上手く伝わらない場合も
- 印刷用紙の選択肢が少ない場合がある
- 急な印刷に対応出来ない場合も
デメリット・メリットを並べてみましたが、一番重要なのはやはり作品力ですよね。プリンターかプロラボかは、その時ベストと思えればどちらでも良いのではないでしょうか。またフィルムが中心の場合、自宅で出力が出来ないことも無いですが、プロラボはやはり心強い存在です。
プリンターでの作品出力
次はプリンターで印刷する場合の確認事項をまとめてみました。
確認事項 | 備考欄 | |
1 | 印刷サイズ | A4・A3・A3ノビ・(A2ノビ) |
2 | プリンターインクの種類 | 顔料・染料 |
3 | 用紙の種類 | 光沢紙・半光沢・マット・和紙等 |
4 | キャリブレーション | 設定しておかないと用紙とインクが無駄に! |
印刷サイズ
印刷サイズに関してはA3〜A3ノビをオススメします。理由は、A4はファイルで見せるには良いのですが、展示すると迫力に欠けてしまいます。
その点A3〜A3ノビは見る人の印象に残るサイズです。出来ればA3ノビをオススメします。
最近ではA2ノビ対応の家庭用プリンターが発売されていて、私も気になっていたところです。ただ用紙の種類が少なく、プリンター本体も高価なので初めての作品展であればやはりA3ノビがオススメ。A2ノビで展示したい方はもちろんドーンと行っちゃってください!
プリンターインクの種類
手持ちのプリンターが有れば、そちらの対応インクで印刷するしかないのですが、新規で購入を検討する場合の為に一応書いておきます。
プリンターのインクは「染料」と「顔料」の2種類に分かれています。以下にそれぞれの違いを簡単に纏めています。
染料 | 顔料 | |
光沢感 | ◯ | △ |
光沢紙の対応 | ◯ | △ |
ファインアート紙への対応 | X | ◯ |
印刷スピード | 早い | 若干遅い |
乾燥時間(インク定着時間) | 長い | 短い |
耐光性 | △ | ◯ |
長期保存 | △ | ◯ |
コスト | ◯ | △ |
「染料」と「顔料」どちらにするか迷いますよね。15名程でグループ展を開催しているのですが、私以外は全員「染料プリンター」を使用しています。
染料プリンターで写真展に出品可能か?
まず先に結論を。
十分可能です。
グループ展のメンバーの作品は風景写真が殆どなのですが、風景写真には鮮やかな色合いと光沢感が得意な「染料プリンター」が向いていると感じさせてくれます。仕上がりもプロラボで出力してもらうのと遜色ありません。光沢紙や半光沢紙の使用にとても向いていると感じました。
1週間ほどの展示であれば、照明による退色は気にしなくて良いレベルです。
顔料プリンターのメリットは?
それでは「顔料プリンター」を使うメリットはどの様な点でしょうか?
私が「顔料プリンター」を使う理由は、マット系の用紙を使用することが多いからです。和紙など様々な用紙に適しているのも「顔料プリンター」を使う楽しみですね。
鮮やかさは「染料プリンター」に一歩譲りますが、黒の階調は顔料特有の美しさがあります。モノクロ写真にも向きなのも「顔料プリンター」です。
それと耐光性と保存性が高いこと、乾燥時間が短く済みます。写真を販売する場合は「顔料プリンター」の方が向いています。
まとめ
以上、写真展での作品の出力方法をメインに書いていきました。
プリンターとプロラボの選択に関しては、基本は出力される結果が全てなので、その時の自身の状況によって納得できる仕上がりを得られる方を選択すべきです。
ただしキャリブレーション等の手間は掛かりますが「顔料プリンター」を使用した方が作品作りがより楽しくなるというのが私の印象です。
またプリンターインクの「染料」or「顔料」についても書きましたが。写真展の出展用途ではインクの種類を問わず、好みのプリンターを選択すれば良いでしょう。
次回以降は作品に使用した用紙・展示方法について書く予定です。それではまた!
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