富士フィルムのラージフォーマットGFX50S II の今更レビューです。既に生産中止の本機、そろそろ後継機も期待される頃。しかし先人がこのカメラで撮影した立体感を感じる画像を見ると物欲が・・・そして気が付けばレンズキットを手にしていました!感想を一言にまとめると、静止画撮影での満足感はかなり高く、近年で購入した中でも最も気に入った一台です。普段の使用機材はソニーα7RⅤなので、こちらを基準に比較しながら書いて行きたいと思います。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。EC事業者等から購入実績などにより手数料を受領しています。
大まかな感想〜風景撮影に最高の相棒
まずは大まかなインプレッションから。
キットレンズGF35-70mmF4.5-5.6 WRと広角ズームGF20-35mmF4 R WRの2本での風景撮影メインですが、正直かなり満足。
上記のレンズの場合、AFの動作は想像した以上に良好。たまに感じる立体感と、照度差の大きいシーンでのダイナミックレンジの広さに助けられます。
不満点は、これはGFX50S IIに限った問題ではないのですが、レンズによってはAFのスピードや精度が許容出来ないことです。GF80mmF1.7 R WRのそれは厳しいものでした。
ラージフォーマット用レンズかつ大口径なので仕方がない面もあります。必死に動くDCモーターから、他フォーマット同等のAF能力を求めてはいけない!そんな教訓を得た次第です。近隣のヨドバシにもこの組み合わせの展示機が無く、動作確認出来ないまま購入しましたが、事前に試せたら購入しなかったかも・・・まあ愚痴ですが(笑)でも写りは素晴らしく良いですよ!
以降詳細を述べますが、風景写真メインで動画機能が不要ならGFX50S II はかなりおすすめです。
お気に入りポイント
- 時折感じる立体感
- ダイナミックレンジが広い
- フィルムシミュレーションで時短
- 手ぶれ補正効果が秀逸
- 撮影に集中出来る操作性
- 小型軽量ボデイ
ラージフォーマットならではの描写
センサーサイズ的には中判とフルフレームの間に属するGFXシリーズですが、フルサイズからの移行(併用)でも違いを感じる画像を得られるはず。
感動したのは、時折感じられる奥行きと立体感、そして太陽などの光源を入れた場合のダイナミックレンジの広さです。白飛びリスクの減少や階調の良さは現在使用しているフルサイズ機より上で、データとしての懐の深さがあるので、ゴリゴリレタッチ派や素材データとしても扱いやすいはず。
▲ 庭に咲いたユリを逆光状態で撮影。シミュレーションはASTIAを適用、それ以外の処理無し。ハイライトのトーンは若干ジャンプしているが、なんとか許容範囲に収まった。
解像感に関しては、正直よく分からなかったです。勿論レンズにも依存しますが、バキバキとした印象ではなく、ある意味普通(自然)の写りです。でもそれが好ましく感じるんですよね。最近は5,000万画素前後のカメラは普及してますし、感覚が麻痺しているのかも。1億2百万画素のGFX100S Ⅱではどうなのか?興味が尽きませんが、正直自分には分からないかも。でも素材としての1億2百万画素はやはり魅力的です。
尖っていない自然な描写が好きだ
約5,000万画素は程よいサイズかもね
フィルムシミュレーションで時短
フィルムシミュレーションのお陰でレタッチに費やす時間は大幅に減少!中でもASTIAとETERNAがお気に入りですが、基本どのモードも秀逸。残念ながらBleach BypassとVelviaは使いこなせていませんが、ここは好みですよね。
ラージフォーマットにしては小型軽量
サイズ感について、最近のミラーレス一眼と比較すれば小型とは言えませんが、中〜上級レフ機ユーザーなら違和感を感じないでしょう。本体重量(約900g)とキットレンズGF35-70mmF4.5-5.6 WR(約390g)の組み合わせならスナップだって問題なし。
6.5段手ぶれ補正には数値以上の効果を感じ、三脚無しで自由な構図に挑めます。レンズ重量は他のフォーマットより重めですが、常用可能な単焦点も発売されており、使いこなしは難しくないでしょう。
▲ コンテニュアスAFでゆる〜く流し撮りも可能。本格的なモータースポーツは無理でしょう(笑)。
コマンドダイヤル式の操作はEVFを覗きながら各種設定を完結出来て好印象。モードダイヤルからカスタム設定を直ぐに呼び出せるのもグッド。
▲ C1〜C6までのカスタム設定が可能。オールドレンズ、インターバル撮影など撮影用途に合わせて登録した設定がすぐに呼び出せ効率的。
XマウントならX-H2の様な操作系ですが、X-T5の様に軍艦部のダイヤルで直接設定するクラシカルなスタイルを要望される方も多いかもしれませんね。GFXシリーズでX-T5ライクな操作性のカメラが出たら面白いと思うのですが、さてどうでしょうか。
肩部のサブ液晶モニターは何かと便利。これに関しては不要に感じる方も多いかもしれませんが、ヒストグラムの確認や暗所での撮影時に結構使えます。
▲ 肩部分のサブ液晶モニタ EVFを使用しないときの設定時に役立ちます。
イマイチに感じる部分
- 特になし
- 4K動画機能が無い
- 動作・連写スピード
- EVF・液晶モニターの見え具合
- ボディの質感
描写に対する不満は特段なし
描写面での不満点、うーん、何か絞り出せればと思うのですが・・・やはり特に無いです。敢えて言えば高感度でのノイズ耐性は感動するほど強い訳ではない程度でしょうか。これは重箱の隅を突っつくレベルの話ですので気にしなくて大丈夫です。
▲ ISO25600手持ち撮影、ノイズリダクションなし。 前言撤回、高感度強いかも。
GFX50S IIは静止画撮影に特化型カメラですが、一応Full HD 30pでの動画撮影は可能です。私もスチル撮影目的で購入しましたが、やはり動画が必要な場合も有るんですよね。6K、8Kなどと贅沢は言わないので、せめて4Kは欲しい・・・。逆に、動画機能無しでも良いのではとヤケクソ的に思ったみたりもします。
動作はゆったり系、スチル撮影なら問題なし
動作はキビキビとは言えませんが、通常撮影でストレスを感じるほどではないです。
連写はメカニカルシャッターで約3.0コマ/秒、遅いです。でもこのカメラの性質を鑑みれば、それでヨシ。レンズ性能にも依頼ますが、シャッターを切ってから液晶での再生も一呼吸必要ですが、まあこれも仕方なしですね。
現在困っているのは、グレインエフェクトなどの各種エフェクトの設定下で、画像保存に時間が要し(3秒程度か)撮影のテンポが悪くなるところ。折角のフィルムシミュレーションなので、JPEGで設定を追い込みながら使用したいのですが、少しストレスを感じてしまいます。でもフィルム撮影の様にシャッターチャージの間と思えば良いのかも!
動作に関しては、おおらかな気持ちで接してください
ファインダーの見えを重視すると厳しいかも
EVF(0.5型約236万ドット)と液晶モニター(3.2型約236万ドット)はエントリーモデルらしく性能は控え目。実用上の問題ないのですが、EVFは少々ざらつきの有る描写に感じます。クリアなファインダーが必須の方は、一度覗いてからの判断をお勧めします。ちなみに私の場合、撮影時にファインダーの良し悪し感じる余裕がないので、全く気にしていません(笑)
プロダクトとしての高級感は感じず、良い意味で実用的。エントリー機種に高い質感は求めませんが、頻繁に使用するフォーカスレバーの質感はもう少し上げて欲しかったです。
▲ フォーカスレバー部分 私の操作が悪いのかもしれませんが、メニュー設定を確定出来なかったり。触感もイマイチに感じました。
その他は、AFONボタンも微妙に浅く押し辛いかな。
▲ 浅目のAFONボタン。AFを駆使するモデルでは無いので問題はないんだけど。
まとめ〜割り切った造りが好印象のGFX50S II 風景・スナップ撮影におすすめ
▲ 橋梁の下、水面に反射した光のグラデーションの描かれ方は見事。縮小画像でわかり辛いですが、自己満足の世界に浸れる
機能てんこ盛りが多い最近のカメラの中、静止画撮影に機能を絞ったGFX50S II は貴重な存在と言えます。諧調豊かな画は秀逸で、私には文句のつけ様なし。約5000万画素のハンドリングも問題なく、扱いやすいサイズです。このカメラ、やはり風景撮影やスナップ撮影目的の方にお勧めしたいです。スポーツや動体撮影、さらに動画もとなると、やはり上位機種のGFX100S IIに行った方が間違いなく幸せです。
今後5000万画素のGFXシリーズが継続されるのか知る由もありませんが、X-Processor 5搭載で後継機が発売されたら大喜びなのですが。GFXユーザーの裾野が広がりますように〜
来年末まで開発発表を待ってみるか
アナウンス無ければGFX100S IIだな
コメント