今回はSONYのEマウント対応レンズ「Voigtlander(フォクトレンダー) NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」をレビューします。
開放F値1.2というハイスピードレンズ。果たしてF1.2というスペックが必要なのか気になっている方も多いかと思います。
今回は開放で撮影した作例を中心に挙げていきます。拙い写真ですが、手に入れるかどうか迷っている方の参考にななれば幸いです。
※RAW現像はAdobe Lightroom Classicにて。レンズのプロファイル補正は使用せず現像しています。
Eマウントか、それともVMマウントか?
Eマウント専用の他にVMマウント用も販売されています。価格はVMの方が安価でかつ軽量。
フィルムライカ用にVMマウント用を購入し、αではマウントアダプター経由で使用というケースも考えました。しかしEマウントに最適化されたというメーカーさんの触れ込みに心揺らぎ今回はEマウント用を導入した次第です。
Eマウント用を選ぶメリットは以下に記載していきます。
電子接点の搭載
電子接点が搭載されているのはやはり便利。フィルムからデジカメになり、無駄なショットを大量生産している自分にとって、撮影データにExif情報が記録されるのはやはり便利。Adobe Lightroomのフィルター機能で、直ぐに撮影データが呼び出せるのはやはり助かります。
距離エンコーダー内蔵
もう一つ、Eマウント用を選ぶメリットに距離エンコーダーが内蔵されていることも挙げられます。勿論本レンズには手ぶれ補正機能が内蔵されていませんが、カメラボディ側の5軸手ブレ補正に対応しているので、暗所での撮影ではさらに心強くなります。
勿論フォーカス時の拡大表示も可能です。f1.2での薄いピント合わせには必須機能です。
個人的にはEマウントで使用するならやはりEマウント用をオススメします。フィルムライカでは使用出来ませんが、デジタル専用が販売されている場合は素直にデジタルに最適化された製品の方が楽して撮影したい自分には合っているみたいです。
勿論マウントアダプター経由でVMマウント用の味を楽しむのもアリではないでしょうか。
使用感レビュー
それでは肝心の使用感をレビューしていきましょう。
40mmという絶妙なキョリカン
レンズの焦点距離と言うと28mm・35mm・50mm・75mm・・・と区別されていく場合が多いですが、40mmという焦点距離のレンズも幾つか存在しています。
私が使用し易く感じる焦点距離は50mm。
しかしもう少し周囲の状況を取り入れたい際、50mmが少し窮屈に感じる時があります。それではと35mmと装着すると、そのファインダーに映る世界がとても広大に感じてしまうことが有るんですよね。
そんな時に登場するのが本レンズ「NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」なのです。広すぎず狭すぎず・・・私にとって絶妙な距離感が40mmなのです。
とても滑らかな操作性
実はフォクトレンダーを使用するのは「NOKTON 35mm F1.2 Aspherical VM-mount」以来。かれこれ10年以上ご無沙汰しておりました。
以前のフォクトレンダーはツァイスやライカと比較して個体差の可能性もありますが、全般的に重めの操作性の印象でした。
しかし、今回の「NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」のヘリコイドの動きはとてもスムーズ。適度なトルク感は操作していてとても心地良いです。これは嬉い驚きでした。
作例
それでは肝心の写りについて作例を中心にご覧ください。F1.2開放で撮影した画像を中心に載せていきます。
イルミネーションで飾られた水槽の中の魚を撮影。開放で動く魚にピントを合わせるのはもう大変!
光源に対してはレモン型の口径食が発生しています。これはかなり意地悪な状況での撮影ですのでご参考まで。
参考までにF2.2で撮影した画像を、露出が暗いですが・・・参考までに。光源はちょっと硬めのものになりました。
玉ボケの様子(2022.1.2追記)
絞り値による玉ボケの変化を撮ってみましたので参考まで。
F1.2 日常が違う世界に変化
冒頭でも述べましたが、F1.2というスペックが必要かどうかという問題ですが、愚問だったかもしれません。
完全に趣味の世界に浸ってF1.2の世界を楽しむのがこのレンズの醍醐味。開放バカと言われようとも我が道を行きシャッターを切るのが吉かと。
湿度の高い梅雨時期の山形市、廊下の開かれた窓を撮影してみました。何気無い風景ですが開放で撮ると何か違った雰囲気になるから不思議。ウェット感の有る描写で、この日の淀んだ空気感が伝わってきます。
次は同じ被写体でF1.2と絞った写真を比較してみましょう。
これは、もう好みの世界。他人からは評価されずとも、私は開放値F1.2の引力には逆らえません。
パープルフリンジの発生は有り
パープルフリンジはそれなりに発生しますが、正直なところ自分はこの点についてはあまり気にしていません。開放付近での撮影の際、出るときは出ますし、ある程度はLightroom上で補正が効くので。
左の四角で囲んだ部分の拡大したものが下の写真です。
この様にパープルフリンジが出現しますが、拡大して分かる程度です。
解像感の比較
F値による解像度の比較を簡易的に行ってみました。今回は中央のみの比較にしています。
上の写真が今回簡易検証用として使用する題材です。以下に腕時計部分の画像を切り出したもので比較していきます。
開放F1.2の描写は柔らかめ
ピントはSEIKOの文字部分に合わせた(つもり)です。
F1.2〜1.4の範囲での、特にF1.2でのピント合わせは至難の業。拡大表示で合わせているのですが、フォーカスポイントを見極めるのはなかなか困難。描写はほんわりと柔らか目です。
今回の被写体は金属質なので絞り開放の被写体としては向いていないかもしれませんが、花や人物またはスナップなどでは十分実用可能な描写に感じます。
冬の岩手県盛岡市の神子田朝市、日の出前の開店準備作業の一コマ。
まだ薄暗い時間帯、F1.2の明るさはスナップシューターの強い味方になってくれます。カメラボディ側の5軸手ぶれ補正機能が作動してくれるのも夜間撮影の大きな一助に。
F2.0〜2.8以降から使い易い解像感になってきます。
夜が明け始め市場が開店しました。F2.0 ISO1600で撮影ですが、背景のなだらかなボケが確認出来ると思います。
最近のカメラは高感度性能に優れているので、思いきって感度を上げて撮影するのも良いでしょう。
F4.0以降は十分な解像感
F4.0以降の描写はかなり安定しています。F8〜11まで絞っても中央部での解像感はそれほど変化しないというのが個人的な印象です。
解像感を求める場合、F4以降であればお好みの値で撮影してすれば良いでしょう。
昔ながらの階段をF4.0で撮影。カーペットの赤の深みが美しく描写されています。クラシカルな雰囲気を捉えるのにはベストなレンズの一つです。
最短撮影距離0.35mは使い勝手良好
50mmレンズの場合の最短撮影距離は0.45mが一般的ですが、本レンズのそれは0.35m。わずか0.1mの違いですが意外と便利な場合が。
上の写真の様に、テーブル上の料理をちょっと記録的に撮影する場合などにあまり被写体から離れることなく撮影可能に。ちなみに私は料理の写真は苦手です・・・
まとめ
ソニーαEマウントの場合、マウントアダプター使用前提で焦点距離40mmの使用可能レンズは多数存在します。またEマウントではZEISSの「Batis 2/40 CF」というAF可能なレンズも気になるところ。
そんな中で本レンズを選ぶ理由は、F1.2の明るさに尽きますよね。開放付近は最近流行りのガチガチシャープな描写という訳では有りません。その反面柔らかな描写はとても魅力的なのです。
そして焦点距離40mmという絶妙な距離、ハマるとこれ1本で撮影に出掛けたくなってしまいます。
またちょっとした撮影時に標準ズームレンズのお供としてもオススメ。私は標準ズームレンズの「FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G」と一緒に持ち出すことが多いです。
今回ご紹介した「フォクトレンダー NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」は、理屈ではなく魅力を感じたら手に入れて撮ってしまえ的な1本です。ズームレンズには撮ることの出来ない撮影アプローチがきっと楽しくなることでしょう!
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント
神子田朝一の写真があって思わずコメントしちゃいました✨
岩手出身仙台在住のカメラマンです!
レンズ選びの参考にさせていただきます!
コメントありがとうございます!
神子田朝市楽しいですよね。コロナ後行けていないのが残念すぎて悲しいです(涙)。