C-PLフィルターの使い方や注意点についてシェアしていきます。
『C-PLフィルター=反射を除去』する用品、となんとなくは理解しつつ、効果的な使用方法や、気になる使用期限など、意外とナゾが多いフィルターですよね。
今回はカメラを始めたばかりの方にも分かりやすいように整理していきたいと思います。
フィルター枠をグルグル回すだけだと思っていたけど。
ちょっとしたポイントを抑えるだけで、より効果的に使えるようになるよ!
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PLフィルターとは?
PL = Polarized Light(偏光)の意味
PLフィルターの理論は、検索すると優れた解説が沢山ヒットしますので、是非そちらもご参考ください。
出た・・・のっけから得意の丸投げ!
つまり、反射など、見辛くなる要因となる余計な光線を(一定の条件で)カットしてくれるのがPLフィルターです。
PLフィルターはサングラスの偏光レンズよりも、かなり濃い色で、フィルター枠を回転することにより効果の強弱が変化するのが特徴です。
さて、”PL”と”C-PL” の違いはなんだろう・・・?
”C-PL”と”PL”の違いは?・・・まずはC-PLを選べばOK
理屈を抜きで言えば、C-PLフィルターを選べば無問題。
PLフィルターは昔のカメラで使用してたよ。
最近ではC-PL(サーキュラーPLと呼びます)とPLと同義で扱われることが多くなりました。お店でPLフィルターを見つける方が大変かもしれませんね。
ご先祖様のクラカメについていたPLフィルターを最近のカメラで使用すると、ピントが合わないことも!ご注意ください。
ご注意本記事では”C-PL”と”PL”の表記が混在していますが、フィルターとして得られる効果は同じですので気にせず読んで頂ければ幸いです。
C-PLフィルターには『1/4ラムダ板』と呼ばれる波長板が組み込まれています。
一例として、一眼レフカメラのミラー部分にはハーフミラー(マジックミラーのようなもの)が仕込まれており、こちらでフィルム面(センサー面)とAFセンサーへ向かう光と分けられます。
これらのカメラで波長板の無い”単なるPLフィルター”を使用すると、正しくAFセンサーに光が届かない状態になってしまいます。
『最近のミラーレスカメラはミラーが無いので”単なるPLフィルター”でも大丈夫では?』なんて疑問も湧いてくるのですが、センサーのローパスフィルターに影響があるらしく、やはりC-PLフィルターを使用した方が安全らしいです。(まだ自分で検証したことが無いので、いずれ試してみたいと思います。)
C-PLフィルターの用途と注意点
水面の反射を減らす
まずはC-PLフィルターの効果を下の写真でご覧ください。
写真は評価測光(露出補正無し)で撮影したものです。
池の水面を撮影しました。
PL効果最大で水面の反射がなくなり、ビフォアー・アフターそれぞれの画像は全く異なって見えますよね。
注意 得るものもあれば失うものあり
水面と葉の関係はメリハリのある写りになっています。
しかし、PL効果を最大にすれば常に良い結果を得られるとは限らないんですよね。
after(効果最大)では葉がノッペリとした描写に。
花は明らかに露出オーバーだ。
ヒストグラムでも色は飽和状態でした。
反射が除去された水面は黒く、睡蓮の葉と花の存在感を引き立ててくれると思いきや、実際の葉は、輝きを失い平坦な描写になってしまいました。
また花の淡いピンク色も飽和し、本来の美しさは感じられません。
同様のシチュエーションの画像をもう一組ご覧ください。
絞り優先A・評価測光・露出補正なしで撮影
- before (効果最小): F4.5 SS1/200 ISO100
- after(効果最大) : F4.5 SS1/60 ISO100
PL効果最大では、池の藻が識別できるまで反射が除去されました。
池の色合いは好みで決めれば良いことですが、手前の雑草は飽和状態かつ白トビも見受けらます。
レタッチの部分補正で、明るさや色合いを変更することは可能ですが、白トビ(黒ツブレも)はデータが残っていない状態なので救出不可能になってしまいます。
フィルター効果を段階的に確認するだけでなく、
露出補正も行いながら撮影するといいね。
効果最大の写真ではシャッタースピードが1/60迄落ちているよね。
その分露出オーバー気味になってしまいました。
葉の光の反射具合を調整する
水面の反射除去と同じ要領で、今回は葉を例にして、PLフィルターの効き具合を確認してみましょう。
①の効果最大の位置から約90度回転させると④の効果最小へと変化していきます。
①は塗り絵的な平坦な描写で、良し悪しは各人の作風や意図によって変わってくると思います。
この辺はPLの効果の最大を狙うだけでなく、必要に応じて調整してください。
上の写真では「効果最大で反射を抑えた方が、向日葵の花を強調できる」かと思ったり・・・悩むところです。中央の屋根に関しては、反射を抑えた描写の方が断然良いですね。
注意 枠をグルグル回し過ぎても意味はない
2枚のガラスの間にスリット状の『偏光膜』が仕込まれています。
PLフィルターの枠には『△三角マーク』が表示されていますが、これは『偏光膜』の方向を示しています。理論上は上の画像の状態で効果が最大になるのですが、実際の撮影では画像を見ながら調整していきます。
沢山回すほど効果が強くなる訳でもないんだね。
枠を90°回すごとに効果最大→最小を繰り返します。
私も以前はグルグル何回転も回していました(笑)
夜景撮影でも使える
f9・SS4・ISO100を複数枚コンポジット
PLフィルターは昼間の屋外だけではなく、ガラス越しの夜景撮影にも使用可能です。
勿論日中のガラスの写り込みの除去も可能です。
頑張ってもどうしても写り込みが・・・
こんな時にもPLフィルターの出番!
でも、シャッタースピードは低下するので、手ブレには注意だね。
ガラストップのテーブル上にLEDライトを設置し、評価測光で撮影しました。
この反射具合を見てみましょう。
ご注意実際の夜景撮影ではありません。あくまでもフィルター効果のイメージとしてご覧ください。
まずはフィルター非装着状態から。
ガラス板にはLEDライトが写り込んでいます。
次はC-PLフィルターを装着し、フィルター効果が最小(写り込みが多い)の状態です。
シャッタースピードは1/640、フィルターなし(1/1600)のデータと比べると0.4倍のシャッタースピードに。
PLフィルターを付けるとシャッタースピードは落ちるのか・・・
フィルター無しと比べて、約半分以上の低速シャツターになってしまうよ。
写り込みとは直接関係ありませんが、LED照明の色合いも変化しています。
コチラもC-PLフィルターは装着していますが、効果が最大(写り込みが少ない)の状態。
かなりの反射が除去されましたね。夜景撮影時に窓に写り込む室内光の幾らかは軽減できそうです。
色々と書きつつも、窓越しの夜景撮影には夜景撮影用レフ板(もしくはPL併用)が最強・・・ですが、公共の場でのご利用はほどほどに・・・
今回のLED照明と異なり、実際のビル灯でのシャッタースピードは更に遅くなります。PLフィルターでの撮影にはブレ防止の工夫が必要になります。私の場合は、たまたま眺めの良い宿に宿泊した時に使用する程度です。
最小効果で反射を活かした撮影も
PL最大効果で反射や写り込みを抑えた例が続きましたが、ここでは最小効果で、逆に写り込みを活かした作例も挙げておきます。
- 左側 before (効果最小): F13 SS1/40 ISO100
- 右側 after(効果最大) : F13 SS1/80 ISO100
コチラも好みですが、私は効果最小で反射光を活かしたbefore画像の方が、この光景にマッチしているように感じました。
空の青に若干の飽和感がありますが、個人的にはギリギリセーフかなと。
別な画像ですが反射を活かしLightroomでレタッチするとこんな感じに。
”PLフィルター=三脚撮影”のイメージがありますが、手持ちでの撮影も可能です。
水面スレスレの被写体を狙ったり、三脚では取れないチャンスはたくさん有りますよね。
フィルムのISO100縛りでのPLフィルター使用は厳しいものがありますが、最近のデジカメの高感度は強いですし、手ぶれ補正もなかなか強力。
上の写真の撮影データからも分かると思いますが、日中であれば、感度や絞りを調整することで手持ち撮影は可能です。この辺はカメラの常用感度・画質と相談しながら撮影してみてください。
check! PLフィルターの効果は水面に対して約40°で最も効果がある
水面の撮影では、PLフィルター効果が最大になるのは、水面に対して約40°でカメラを向けたときです。
PLフィルターを使わない方がベターな場合も
『PLフィルターを使わなければ良かった・・・』もちろんそんな時も。
上の写真では、PL効果最大で玉ボケが消えてしまいました。
コチラは普通のズームレンズで撮影していますが、クセあり単焦点のグルグルボケの様なマニアックな描写が台無しになってしまう場合も。
でも私は玉ボケがうるさく感じますが・・・
それもそうだね
ここでちょっと思い出したのが、『PLフィルターは付けっぱなしで良いか?』という問題なんですよね。
PLフィルターは付けっぱなしでOK?
しばらくPLフィルターを付けっぱなしの時もあるよね。
はい。
取り外しが面倒なもので・・・
check! PLフィルターは使用期限あり。使わない時は湿気の少ない冷暗所での保管がオススメ。
PLフィルターは使用期限があり、使用頻度にもよりますが、その寿命は7年程度と言われています。「最近効果が薄れてきたな」と感じたら、一度寿命を疑ってみてください。
また使用しない時は、防湿庫など状態の良い場所での保管をオススメします。
撮影地でフィルターを使用しない時は、フィルターケースに入れておくと安全です。
それでも「敢えてPLフィルターは付けっぱなし」にしているカメラマンは一定数いらっしゃいます。
実際私の周囲にもいらっしゃいますし、私も撮影対象によっては、暫く付けっぱなしにしていることは割とあります。
数日間に渡る風景撮影では、PL付けっぱなしのレンズを常備することも。
虹が出たらPLフィルターを使いたいよね。
バッグからフィルターを出取り出す時間も惜しい!
この辺のスタンスは各人の撮影スタイルによって変わってくるので、とにかくPLフィルターには寿命が有り、管理に気を遣う必要があることを認識していれば良いと思います。
広角レンズでも使えるのか?
「PLフィルターは広角が苦手・・・」と耳にすることもあると思いますが、実際そういう場合も。
一般的な円形C-PLフィルターの場合、24mm以上の広角では効果にムラが生じることがあります。但し、全く使えないと言う訳では無いので、写りと相談しながら使用してみてください。
さて、上の写真の画角は超広角12㎜、そしてC-PLを使用しているのですが、広角用に対応したC-PLフィルターも販売されています。
結構大きく、手軽とは言えませんが・・・日常とは違う世界が楽しめます。
空はRAW現像時にレタッチでも良いかも・・・
メリハリの効いたダイナミックな空を表現できるのもPLフィルターの魅力ですが、「空に関してはレタッチの方が自由度が高くて便利かな・・・」というのが最近の個人的な印象です。
と言うもの、空でPLフィルターの効果を出すには太陽と空の角度が重要な為です。
check! PLフィルターの効果は太陽に対して直角方向の空に最も効果がある
空の撮影では、PLフィルター効果が最大になるのは、太陽に対して90°の方向の空にカメラを向けた時になります。
実際にジャストこの角度で撮影出来るタイミングはそう無いですし、「それだったらレタッチでの対応も良いのかな・・・」と思う次第なのです。
『空を選択』機能で空が自動的にマスキングされた
下のafterの画像は、Adobe LightroomのAI自動選択機能『空を選択』を適用後、『かすみの除去』パラメータを+30程に振っただけです。背景の混み具合にもよりますが、AdobeのAI 『アドビセンセイ』パワーで作業は楽勝です。
左側 before:フィルター無しで撮影
右側 after:Lightroomの『空を選択』⇨『かすみの除去』を適用
おすすめCPLフィルター
PLフィルターは種類が多く迷ってしまいますが、旅行や風景撮影でオススメの2枚をピックアップ。
ハクバ HAKUBA XC-PRO(反射率 0.6% 薄枠 撥水防汚)
低反射率 0.6%、更に撥水防汚コートが施されています。
私も使用していますが、特に不満点が見つからない良C-PLフィルターです。
HAKUBA XC-PRO(反射率 0.6% 薄枠 撥水防汚 帯電防止)
ホコリが付着しにくい帯電防止機能を備えているのが、他の製品と大きく異なるポイント。
メンテが楽々で、長旅には必携のC-PLフィルターです。
決して安くはないので、異なるフィルター径のレンズには、ステップアップリングでの対応も検討してみては。
まとめ
まとめるとこんな感じでしょうか。PLフィルターの使用には若干の作法が有りますが、すぐ慣れるので、どんどん使ってみてください。
まだまだ書き足らない点もあると思いますが、気が付いたら追記していきたいと思います。
コメント
PLフィルターについて、まとまった解説ページが有り、大変参考になりました。下40°、横90°、7年・・・このフィルターは何年前に買ったものだろうか、10年は経ってるなあ。私はズームにCPL装着したまんま使ってます。葉っぱ、花びらは多少てかった方が立体的でいいようですね。ま、芸術的な写真な撮りませんので、空が青くなることだけを目的に気にせずばかばか撮りたいと思います。
ありがとうございます。参考になれば嬉ししいです。