富士フィルム『XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR』の2ヶ月間短期使用レビューです。580gの小型軽量ボディでフルサイズ換算107-457mm相当をカバーする頼もしいスペック。このクラスのズームレンズに高望みをしてはいけないと理解しつつも、期待してしまうのうのが人の性。さてどんな感じでしょうか?
結論としては(あくまでも短期間での感想ですが)70〜約200mm付近まではバキバキではない程よいキレのある描写で好印象。約200〜300mmのレンジではちょいアマ傾向か。最初は望遠側の描写で悩んだのですが、但し絞りやフォーカスのクセを掴んでおけば、そこそこの結果を得られる様になりました。
動体撮影は未だ本格的に試せていないので、今回のサンプル画像は風景やスナップ中心です。また望遠端付近の描写が気になっている方も多いと思うので、そちらの画像も併せて紹介していきます。
サンプル画像はLightroomでのRAW現像時に露出補正を行っています。フィルムシミュレーションはLightroomのプリセットを当てたものなので、参考程度にご覧ください。
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XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISと迷いましたが・・・
本レンズの購にあたり迷ったのが2013年発売の『XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS』の存在。スペック的にはこちらで十分な面も多いのですが、やはり発売日が新しい方に引かれますよね。まず簡単にポイントのみ比較すると以下の通り。
XF70-300mmF4-5.6 | XF55-200mmF3.5-4.8 | |
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35mm判換算 | 107-457mm相当 | 84-305mm相当 |
レンズ構成 | 12群17枚 非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚 | 10群14枚 非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚 |
開放絞り | F4-F5.6 | F3.5-F4.8 |
羽根枚数 | 9枚 | 7枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 0.83m | 1.1m |
最大撮影倍率 | 0.33倍 | 0.18倍 |
質量 | 580g | 580g |
フィルター径 | 67mm | 62mm |
発売時期 | 2021年3月 | 2013年5月 |
XF70-300mmは簡易マクロ的にも使えそうだ!
焦点距離で(個人的に)使いやすいのはXF55-200mm。やはりワイド側55mm(フルサイズ換算84mm)が使えるのは大きいですし、運動会や野鳥狙いでもないので、テレ端300mm(457mm)にあまり魅力を感じないのが正直なろころ。でも300mmは有ると何かと便利で、使用頻度が意外と高くなっています(笑)。
それと4020万画素センサーをフルに活かすにはXF70-300mmF4-5.6の方が良いらしいというのも選んだ理由の一つです。
最大撮影倍率0.33倍は魅力的
特に訴求力が高いのが最短撮影距離(0.83m)と最大撮影倍率(0.33倍)の部分で、簡易マクロ的な撮影が楽しめるのが嬉しい誤算でした。
▲ ニョッキリ付きでた美味しそうなタマゴタケのペア。最大撮影倍率0.33倍と最短撮影距離0.83mから得られるワーキングディスタンスは大好きなキノコ撮りにピッタリ。焦点距離は約100mmで、傘の条線もシャープに描かれています。
前にも述べましたが、望遠側でシャキッとした描写が得られないことにモヤモヤ感が。まあレッドバッジレンズではないので、ある程度の妥協は必要ですが折角の300mm、動きの鈍そうなトンボで試してみました。
▲ 10枚ほど撮影してみたところ、ピントが合えばそこそこシャープな描写に。勿論100%の的中率は望みませんが、望遠側のピント合わせはシビアな傾向があるのかも。これは個体差とカメラ側の問題かもしれませんので参考まで。
通常絞りはF8を多用しますが、テレ端開放F5.6で撮影したのがこちら。元が雑然とした背景で綺麗なボケではありませんが、個人的には十分な結果かなと。
▲ 絞り開放では十分な解像感は得られませんが、雰囲気重視ならこれもアリかと。一段絞ると改善するので、私はバカの一つ覚えでF8固定で撮影することが多いです。
ワイド側はかなり実用的で時にハッとさせられる描写も
ワイド側ではリッチな色乗りと豊かなトーンに目を奪われることも。カメラの小さな背面液晶でも、撮って良かったと思えるシーンってありますよね。実際そんなことわかる筈がないのですが・・・。
ワイド70mmは文句の付け所のない描写。笹の葉が繊細に描写され、四隅も十分な解像感を得られます。硬くもなく柔らか過ぎでもなく、いい感じ。小雨が降る日の、笹のしっとりとした雰囲気が描かれています。
笹の写真をもう一枚。焦点距離約150mmでも納得の描写。
▲ 都会的なサンプルが全く無いのが悲しい。収穫前の雑草取りを撮らせて頂きました。地方在住だと米不足が信じられない・・・多くは30kg〜60kgでストックしている家庭が多いので、切実感が感じられないのかもしれません。
レンズが小さいので相手に警戒させないのも本レンズのメリット。スナップでフルサイズ400mm級のレンズは見かけ的にやばいですからね。
▲ 御神輿の鳳凰をアンダー気味に撮影。黄金の輝きもピシッとした描写で決まりました。レンズとは関係ありませんが、ハイライト重視なら、フィルムシミュレーションのPro Neg.Hi(プロネガハイ)は結構ハマります。
▲ 70mm(105mm)が長く感じるのはこんなシーン。やはり50mm(75mm)スタートの方が撮影の幅が広がるのは事実。やはり普段使いに70mmは辛いものがあります。ポートレートなら『XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR』の方が間違いない選択になるでしょう。決して小型軽量とは言えないので、慣れは必要ですが。
▲ 防塵防滴仕様は雨の日の強い味方。このクラスのズームレンズでは嬉しい仕様ですね。でも過信は禁物、上からタオルを被せておけば大体大丈夫そうです。
望遠側の描写
▲ 約280mmのショットですが、やわらな描写でこれはこれで良いかなと。ボケも自然ですし。
▲ F5.6での描写はこんな感じでふんわり気味。もうちょい絞れば良かったですね。
▲ こちらは雨の日の彼岸花をテレ端300mmで撮影し、Lightroomで100%に拡大した画像。赤はベルビアでかなり脚色していますが、色艶を感じるというよりは、現実的な色の記録に徹している感じ。正直キレも感じませんが、テレ端のアウトプットとしては及第点と言った感じでしょうか。エラそうなことを言ってすみません・・・。
▲ 5.5段の手ぶれ補正は実際に強力で、300mm SS1/80の状況下でも難なくクリア。更に580gと軽量なので、一日中望遠撮影が楽しめそうです。
まとめ
▲ ぐだぐだと書きましたが、フルサイズ換算457mmを手持ちで気軽に扱えるのはやはり素晴らしいことなです。
- 軽量コンパクトでワイド側〜200mm周辺は満足出来る描写
- 色乗りは普通
- あると便利な300mm(AFの精度と絞りに気をつければそこそこ使える)
- 強力な手ぶれ補正機能
- 防塵防滴仕様は心強い
- ハイコスパ、常時携帯出来る望遠レンズとしておすすめ
大まかな印象をまとめると上記の通り。
テレ端300mmまで必要ないので、「XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」の後継レンズとして発売されれば良かった〜と言うのが個人的願望。まあこんなこと言っても仕方がないのですが。
でもレンズのクセを理解していれば気軽に持ち歩けるテレ端300mmは魅力的ですし、実際に300mmの使用機会は多いです。また防塵防滴性能は、雨天下での撮影が多い者にとって嬉しい仕様ですし、フジ純正ズームで大きい最大撮影倍率は、マクロ的に撮影する方にとっても強い味方になるはず。
発売当初から価格は上昇しましたが、写りの良さは十分納得できるレベルですし、コストパフォーマンスは高いです。やはり小型軽量はかなりのメリットで、荷物を減らす必要がある時には必携の1本と言えます。
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