ヘリコイド付きマウントアダプターを今更ながら使ってみたら、今でちょっとお休みしていたレンズの出番が増えることに。
今回使用したのは、フォクトレンダー(Voigtländer)のクローズフォーカスアダプター(VM-E Close Focus Adapter)です。製品のレビューも合わせながら、使用感などお伝えしていきます。
クローズフォーカスアダプターとは?
レンズの最短撮影距離を短くしてくれるアダプターだね!
そもそもマウントアダプターとは、異なるマウントのカメラとレンズを合体させるアダプターのこと。
例えば”Canonのカメラ(EFマウント)”に”Nikonのレンズ(Fマウント)”を取り付けるなど、それぞれ別の規格のマウントを接合させる為のアダプターになります。
今回ご紹介するVM-E Close Focus Adapteは、『ライカMマウントレンズ』を『ソニーEマウントカメラ』で使用するタイプになります。
そしてマウントアダプターにヘリコイドを付加させることにより最短撮影距離を縮めてくれるのがクローズフォーカスアダプターになります。
それぞれ高さは同じですが、クローズフォーカスアダプターにはヘリコイドが組み込まれており、作り込みは結構すごいです。
言葉で説明するよりも、実際使用してみると「あ、な〜んだそんなことか」的にすぐわかると思います、
クローズフォーカスアダプターが必要な訳は?
今回使用したかったレンズはこちら。
レンジファインダー用レンズでライカMマウントに属するレンズです。Zeissの”Z”からZMマウントとも呼ばれています。
以前から大好きなレンズですが、自分にとって唯一の欠点があるんですよね。それは・・・
最短撮影距離が0.9m
そう、かなり寄れないレンズなのです。
レンジファインダー用レンズの最短撮影距離は0.5m〜1.0mと寄れないものが多いんですよね。
屋外撮影ではあまり問題ないのですが、カフェや食堂での記録写真を撮る場合にはかなりキツイ距離で、ほぼ立ち上がって撮影する必要に迫られます。これは結構面倒だし、お料理を目の前にあまりバタバタ動きたくないですよね。
これがクローズフォーカスアダプターを咬ませることにより、最短撮影距離が短縮され撮影の幅がかなり広がります。ちなみに今回使用しているC Sonner T*1.5/50ZMでは・・・
最短撮影距離が0.474mに縮まる!
0.474mですと、一眼カメラ用50mmレンズとほぼ同等の最短撮影距離になります。テーブルフォトではもう少し短い方が使いやすいのですが、着座しながら卓上の料理等を撮影することは可能です。
試しに最近食べたパンケーキを”α7C+C Sonner T*1.5/50ZM + VM-E Close Focus Adapter”の組み合わせて撮影したものがコチラ。(本記事の作例は全てこの組み合わせで撮っています)
このレンズ1本しか無い時に、寄れずに切ない思いをしたことが今まで幾つあったことか・・・
これからの写真生活が劇的に変わりそうな予感・・・と言うか変わりました(笑)
最短撮影距離の変化はレンズによって異なります。詳しくはコシナさんのサイトでご確認ください。
使い方
実際の使い方は、特に難しいことはありません。
まずクローズフォーカスアダプターを回転し伸ばします。
繰り出し量は4mm。
後はレンズ側のヘリコイドを回転しピントを調整しシャッターを切るだけ。
使用感
コシナ製品なので使用感は申し分なし。
ヘリコイドのトルク感はとても適切かつローレット加工が施され回しやすいです。まるでコシナ製レンズのヘリコイドを回転させている様にしっとりした動作。一般的なAFレンズのフォーカスリングより遥かに良い感触です(比較するのも変ですが)。
C Sonnerのヘリコイドは結構軽めなので、それよりも若干トルクを感じる回し心地です。
無限遠も問題なし
マウントアダプターの使用時に心配なのが無限遠が出るかなのですが、本組み合わせでは特に問題なし。
まだ良いサンプル写真が無いのですが、散歩中にやってきた新幹線を撮影。クローズフォーカスアダプターを装着した状態でも普通に撮影可能です(ヘリコイドはロック位置で撮影)。
ロック機構は小さめ
ヘリコイドにはロック機構が備わっています。通常撮影時は不要な誤作動を避けるためにロックをしておいた方が良いでしょう。
但しかなりスイッチはかなり小さめなので、頻繁に変更するには向いていないかも。
使用レンズにもよるのですが、私は面倒なので解除したままで使用しています。
今回使用のC Sonner程度のレンズであれば、注意していれば勝手に回転することはほぼありません。
ちなみにロック出来る位置は定められており、最短繰り出し時のみです。
造り込みはかなりグッド
希望小売価格(税別)¥36,800円とマウントアダプターとしてはかなり高額な部類ですが、品質はかなり高いです。ただし、単焦点レンズも買えてしまう価格なので、余程の必要性がない限り購入を迷うこともあるかと思います。
重さ約121g
クローズフォーカスアダプターの重さは約121g、そこそこ重いです。
ちなみに C Sonner T*1.5/50ZM は228gで、合体すると349gになり、携帯性は若干スポイルされてしまいます。
(ちなみにヘリコイド無しのM-Eマウントアダプターの重さは50g程度)
注意点
フォーマットの異なるマウントを”無理やり”取り付けているので、注意点がいくつかあります。
電子接点はなし
マウント部には電子接点が無いので、純正レンズでは可能なレンズとカメラ間の通信は行えません。
測光はレンズ側の実絞りになるのと、F値は記録されない点は要注意。
アダプター取り外しが面倒なことも
通常のマウントアダプターよりも重いので、必要な時だけ取り付けたいと思うのが自然です。
ただ外出先でのマウントアダプターの取り外しは、結構手間に感じてしまうんですよね(私の性格的な問題もあるのですが)。
せっかく購入したものの、面倒で使わなくなってしまう可能性も高いので、やはり購入前によく考えた方が良いでしょう。
まとめ
VM-E Close Focus Adapterは生産終了だが中古や他メーカー製があり
コシナ製造のVM-E Close Focus Adapterは残念ながら生産終了ですが、中古品で入手可能です。
また同様のアイテムが他のメーカーから販売されています。
こちらのすごいところが、繰り出し量がなんと6mm!(VM-E Close Focus Adapterは4mm)1mmの違いはそれほどでもないですが、2mmの差は結構大きいのでかなり興味があるんですよね。まだ使用したことが無いのですが、いずれ試してみたいと思っています。
全ての方にオススメではないけど・・・
アダプターとして気軽に買える金額とも言えないので、全ての方におすすめと言えないのが正直なところ。
だだMマウントやLマウントには魅力的なレンズが多く、クローズフォーカスアダプターで最短撮影距離の問題が解消されることにより更にその魅力が増すとも言えます。
もしもオールドレンズにどハマりした等、興味を持ったらぜひ試してみてください。
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