画像の自動補正機能について、以前ソニーの「オートHDR」についてお話ししました。今回はもう一つの自動補正機能である「Dレンジオプティマイザー」について「オートHDR」との比較を交えながら考えていきます。
今回はソニー機についてのお話ですが、キヤノンには「オートライティングオプティマイザ」、またニコンには「アクティブDライティング」と名称は異なりますが同様の効果を狙っつた機能があります。参考までにご覧頂ければ幸いです。
まずは何故画像の補正が必要なのか、簡単に書いていきますね。
どうして補正が必要なのか?
例えば明暗差の大きい被写体を評価測光で撮影した場合、実際肉眼で見ている世界と写真に写ったものとではかなり異なる事ってありますよね。ある程度撮影経験のある方ならば当然に思われるでしょうが、カメラを初めた当初は疑問だと思います。
簡潔に理由を述べますと、
カメラは肉眼で見た景色を「1回のシャッターでは表現できない場合がある」からです。
この「1回のシャツター」という言葉の意味は後ほど出てきますのでここではあまり気にしなくてOKです
下の写真では「左側の通路部分」と「右側の屋外部分」で明るさが大きく異なります。スポット測光で測光箇所を変えて撮影しています。
右側で測光
右側が見た目に近いが、左側は真っ暗に写っている
左側で測光
上の写真とは逆に。右側の青空が見えなくなりました。
このように光の照度差が大きい被写体の場合にカメラは1度に適正な露出を得ることが難しいからなのです。実際に目で見えている景色は下の写真の様なのですが・・・
肉眼で見た景色(イメージ)
空が青くて左側の通路も認識出来ています。
以下は少々乱暴な説明になりますが、また上の写真を参考にしてください。
- 肉眼で見る景色:左側と右側を2回それぞれ適正露出で撮影し頭の中で瞬時に合成している。
- カメラが写す景色:全体を1回適正だと思われる露出で撮影している。
カメラの優秀な評価測光で撮影したとしても、この様に明暗差がある場合はある程度妥協した露出で1回のシャッターで撮影するしかないということです。
つまり冒頭で「1回のシャッターでは表現できない場合がある」と書いたのはこのことなのです。
そしてこのカメラのウィークポイントを補ってくれるのが「Dレンジオプティマイザー」と「オートHDR」なのです。
■ HDR 露出の異なる数枚の写真(通常は3から5枚)を合成して一枚の写真を作成する。
■ Dレンジオプティマイザー 一枚の写真で明暗部の階調を引き出して仕上げる。
これらはフィルム時代には無かったデジタルならではの便利な機能ですよね。
HDRとは?
この様な感じに写真を重ね合わせて、それぞれの露出の良いとこ取りのイメージです。出来た写真が下のものです。
HDRについては別記事で少々詳しく書いていますので時間があったらご覧ください。
手持ちでもOK! カメラ内HDR自動作成機能 SONY α オートHDRとは?
Dレンジオプティマイザーとは?
HDRが複数枚の画像を合成するのに反して、Dレンジオプティマイザーでは一枚の写真で明暗部の階調を表現していきます。
初めのうちは露出補正は写真全体を+ー補正していると思いますが、こちらの処理では画像の部分ごとに補正を自動で掛けるイメージです。
簡単に言うとカメラが自動でレタッチしてくれるんだね。
実際にDレンジオプティマイザーで撮ってみる。
ではこの便利なDレンジオプティマイザーを掛けるとどの様な効果を得られるのか見てみましょう。
この機能はAUTOとLV1~5まで設定出来る様になっています。
これは凄いですね。PCでのレタッチ作業では時間がかかる処理をあっと言う間に自動処理です!補正強度としては画質的にあまり無理のない範囲に留められている様です。
でもこんなに簡単キレイに写るにに何故にこの機能を標準にしないのだろうと不思議に思いますよね。当然のことながらデメリットがあるからなのですが、次はその辺を見ていきましょう。
Dレンジオプティマイザーの問題点
結論から言いますとノイズの発生です。
「補正無し」と「LV5」の比較した画像をご覧ください。2倍に拡大しています。
いかがでしょうか?
実は「やはり強度を強くするとノイズが酷い」とコメントする予定でしたが・・・
意外に綺麗といいますか、上の画像は2倍に拡大した画像なので実際にスマホやPCのディスプレーで鑑賞する分には個人的にはあまり問題にならない気がします。それも最強度LV5の補正です。
但し実際にはノイズと階調は少し失われています。上部の看板のノイズや操作レバーのマーク部分は画質が落ちています。
実際はPCのレタッチ作業でダーク部分をレタッチしている様なものなで、画質に無理が出るのも当然です。この辺の良し悪しは各自が判断するしかありません。ちなみに私の趣味レベルでは十分に使用に耐えるものに感じました。
一方でHDRは画像を統合するだけで、露出の補正を行う訳ではないので原則ではノイズは発生しないことになります。
HDRとDレンジオプティマイザーのメリット・デメリット
①は評価測光で通常撮影したもの ②はカメラの「オートHDR」機能を使用したものです。
正直私はHDRが得意では無いのですが、③の写真は無理やり作成したHDRのイメージです。好き嫌いは分かれますがHDR独特の不自然さを逆に楽しむことも可能です。
HDRのメリット
- ノイズの影響が少ない
- カメラのオートHDRは手持ちでも撮影出来るが、三脚が必要な場合もある(SSが確保できない場合)
HDRのデメリット
- 不自然な階調になることが(逆に作品として不自然さを利用することも可能)
- カメラのオートHDRの場合画像処置に時間がかり、連続撮影が出来ない
- オートHDRはJPEGのみ対応
- 動きのある被写体には原則的に不向き
Dレンジオプティマイザーのメリット
- 通常の撮影と同じ感覚で簡単手軽
- スポーツや動物などの動く被写体にも使える
Dレンジオプティマイザーのデメリット
- 設定を強めにするとノイズが増える
- JPEGのみの対応
HDRとDレンジオプティマイザーの向き・不向の被写体
足りない露出を補うという点で、目指すところは似通った両機能です。やはり大きな違いはHDRは複数枚撮影しなくてはならないので動体撮影には向かないという点です。
ただHDR機能を利用することにより、HDR特有の描写を楽しむことも出来ます。
スナップ撮影が好きなトンちゃんはDレンジオプティマイザーを使用して撮ってみよう!
まとめ
アクティブDライティングとオートHDRは常用できるか?
この点について、以前は常用には否定的でした。しかし今回の撮影結果を見て状況に応じては十分使用できるという印象に変わりました。
後からの画像編集作業が要求されない場合や、仕上がりが満足出来る状況であれば積極的に使うのもアリだと思います。例えばお子さんを撮影して、レタッチに時間を割けない場合だってありますよね。
オートHDRに関しては、やはりカメラ内で作業が完結出来るのがメリットですが、連続撮影が効かないので狙った時のみになります。そして効果が大きい分、強さによっては仕上がりが不自然な場合になる場合もあるので注意したいところです。
ただこの仕上がり具合に関しては個人差が有りますので、自分が気に入った設定で使用するのが一番ではないでしょうか。
今後は更に画質が向上するかも
最近のセンサー技術の進歩は驚くほどです。
特にDレンジオプティマイザーはセンサーと画像処理エンジンに依存する面が多いので、技術の進歩で更に画質の向上が見込まれます。今後どうなるかが楽しみですね。
コメント
ありがとうございます。
私のような素人にはすごくわかりやすかったです。凝った写真とか別に撮らないのですが
意味の分からない機能が多すぎて疑問でした。
最近は、より良い写真も撮りいというか、なんだか失敗してるて感じたりもして
こういう機能も試してみます。
あと、補正という点でやはり画質が落ちるというのも知りましたので
良かったです。
コメントありがとうございます。
カメラには自分もまだまだ使えていない機能沢山です・・・
追いかけると大変なので徐々に使っていけば良いのではと思います。