連載星撮り物語『星景写真始めます』の第2回目、今回は星景写真に適したカメラの選び方についてお話ししていきます。
いきなり結論ですが高感度に強いこと、やはり高感度性能が星景写真を撮る上で一番重要なポイントです。
但し一般的には星空写真撮影だけの為にカメラを買うわけでは無いので、通常撮影とのバランスを鑑みながら考える必要も。
もちろん星景写真撮影専用カメラを用意出来るのであれば素晴らしいことですが。
わたしが使用している機材はソニーとオリンパスがメイン、よってこれらのメーカー中心の記事になっていますのでご了承ください。
但し機材選びに関して基本的なポイントは同じなので、他メーカーを検討している方も参考なれば幸いです。
どの様なカメラが向いている?
では早速星景写真撮影に必要な性能・機能について箇条書きで下にまとめてみます。
- ★★★★★ 高感度性能
- ★★★★★ 意中のレンズが使用できる
- ★★★★・ バッテリー能力
- ★★★★・ 撮影時外部給電の可否
- ★★★・・ 防塵防滴性能
- ★★★・・ 小型軽量
- ★★・・・ 拡張性(インターフェースの種類など)
★★★★★で重要度を主観的にランク付けしてます。
高感度性能
改めて申しますが、一番重要なのが高感度性能。
星を点で写す場合、感度はISO1600〜ISO6400の間で設定します。
この高感度帯域でノイズが少ないカメラがやはり使いやすい機材になります。
ソニーα7Ⅲでは拡張ISOで最大ISO 204800という恐ろしい感度ですが、実際に常用出来る感度の範囲は限られています。
星景写真はノイズとの戦いと言っても過言では無いので、高感度は強いに越したことはありません。
ここで気になってくるのがセンサーサイズの違いです。
フルサイズ・APS-C・フォーサーズ 選ぶならどのセンサー?
一般的にはセンサーサイズが大きい程ノイズ耐性に優れており、ここが星景写真ならフルサイズが良いと言われる所以です。
但しフジフィルムはAPS-Cでも十分な高感度性能を有しますし、センサーサイズが小さいマイクロフォーサーズでも天の川を美しく撮るのは十分可能です。
何とマイクロフォーサーズのオリンパス OM-D E-M1 Mark IIIは星へのピントをAFで合わせる『星空AF』を搭載し、更に(撮影条件にもよりますが)手持ちで星空撮影!も可能です。
詳しく下の別記事をご覧ください。
この辺はイメージセンサーのメーカーや画像処理エンジンの味付けによっても変わってきます。検討している機種が有ればサンプル写真や作例ををご覧いただくことをお勧めします。
もしもこれらの中から一つだけ選ぶのならやはりフルサイズです。高感度性能の良さだけではなく、ダイナミックレンジが広く暗部データの情報量も豊富。このメリットは現像・レタッチの際に画像が破綻し辛いことで実感出来ます。
意中のレンズが使用できる(明るいレンズで)
大好きなレンズで撮るとテンション上がりますよね。普段の撮影では収差たっぷりのクセ強めのレンズが好きなわたしですが、星景写真でオススメなのはその真逆の優等生系レンズ。
収差が少ないことも重要ですが、最も重要なポイントが明るさ(F値)と焦点距離です。
※収差については今後別記事で触れて行く予定です。
星景写真であればズームレンズの場合開放値F2.8以下、焦点距離は14mm〜35mmをカバーしている超広角レンズであれば十分使いやすいはず。
広大な星空と大地を絡めて撮ろうと思うと出来るだけワイドなレンズが便利です。
但し広角でF値が明るいレンズは価格は高くなりがち。この辺は予算と欲望と!?相談しながら決める事になります。
Tips
開放値F4レンズでも星空撮影は可能です。
但しノイズを考慮するとズーム・単焦点ともに開放値F2.8以下が望ましいです。
参考まで星景写真に良く使われるレンズを数本ピックアップしておきましょう。
(今回はカメラの選定についてがメインなのでレンズについてもまた別記事に詳しく書く予定です。)
Nikonの超広角ズームレンズ、2007年の発売ですがまだまだ十分現役。少々高価ですが中古品の流通も多くて検討の価値はあります。重さは970gと重量級ですが、超広角14mmで撮れるのは大きなメリットです。
単焦点24mm F1.4のスペックのレンズは各社から発売されており銘玉も多いです。開放F1.4だと一段絞ってもF2.0なので余裕があります。
わたしの個人的なオススメレンズはこちら。20mmでそこそこ広角、更に開放F1.8の明るさで小型軽量です。24mm F1.4は優秀なレンズである場合が多いのですが、星景写真ではより広範囲を写せる20mmの方が使いやすい場合が多いです。
以上例として3製品をピックアップしましたが、撮りたいイメージや、機材の運搬手段によっても選択は千差万別。
ネット等での作品やサンプルを参考にお好みのレンズを見つけましょう。後からマウント替えは中々のエネルギーと財力が要求されます。やはりこの辺はしっかりとリサーチしておいた方が良いでしょう。
最近はメーカー純正レンズ以外にも優れたサードパーティー製レンズが販売されています。こちらもチェックしておきましょう。
バッテリー能力・撮影時の外部給電の可否
上記2点についてはまとめてお話ししていきます。
- 撮影場所(特に高地)では気温が低く電池の消耗が激しい場合も
- 構図を決めた後、暗所での電池交換は面倒
- 星景写真撮影は長丁場
- ミラーレスは電池の減りが早い(レフ機と比較して)
バッテリーライフには要注意
これからカメラを購入する方はミラーレスカメラを検討されている方も多いかと思います。
わたしもソニーのミラーレス一眼カメラα7Ⅲが星撮でのメイン機。
ミラーレスカメラははどのメーカーでも、レフ機と比較するとバッテリーの減りが早いんですよね。
構図を決めた後に暗がりでの電池交換は出来れば避けたいですし、何よりも撮影テンポにも悪影響が及びます。
各社ミラーレス向け大容量のバッテリーを出したりと対応をしているのですが、中でもソニーのNP-FZ100はなかなかの持ち具合。α7Ⅲでは液晶モニタ使用時の撮影枚数は710枚、結構撮れますよね。
まあバッテリーからカメラを選ぶことは少ないと思いますが、一応チェックしておいた方が良いでしょう。
外部給電は後から必要になることも
星撮りをしていると静止画だけでは飽き足らずタイムラプス等の動画撮影をしたくなることも。星空〜日の出までインターバル撮影しているとカメラ内のバッテリーだけでは足りなくなってしまいます。
こんな時に役に立つのがバッテリーグリップやモバイルバッテリーからの外部給電です。
オリンパス OM-D E-M1 Mark IIIでの外部給電はこちらのモバイルバッテリーを使用しています。
カメラによっては外部給電可能な定格出力が決まっている場合がありますのでこの辺も事前にチェックしておいた方が良いでしょう。
防塵防滴性能
基本的は晴れた空を撮影する星景写真、山の天気は変わりやすいですし、冬山ではどこからとなく雪が吹きつけてきます。
自然相手の撮影ではやはり有ると安心なのが防塵防滴性能。表現方法も各社様々で、防塵防滴性能をはっきりと明言しているのもあれば「防塵防滴に配慮」と謳っているカメラも。カメラ屋さんで展示機のシーリング状態などを確認してみるのも良いでしょう。
防塵防滴はあくまでも保険、まずはカメラを濡らさないことが大事ですね。
小型軽量
カメラの大きさについて、この点はカメラに対する好みも有るので難しいところ。やはり大型のカメラは使い易いですし、車移動中心であれば機材の大きさは問題にならないこともあります。
わたしの個人的な意見としてはやはり小型軽量の機材をオススメします。最近の小型軽量ミラーレスカメラは持ち運びは楽々。光学ファインダーでは星のピント合わせをしないですしね。
- 星景撮影では他にも必要な機材が多くなってしまう
- 長時間露出でのブレは大敵、三脚や雲台に負担を掛けない方が望ましい
- ポータブル赤道儀(ポタ赤)使用では軽い機材が有利な場合も
拡張性(インターフェースの種類など)
周辺機材が増える可能性が有る場合は入力端子類も要チェックなのです。
最近の例としてはUSB端子ですかね。自分の周りのUSB端子はほぼType-Cに統一されて来たので、カメラでもType-Cマストなのです!
他にはケーブルレリーズの接続のし易さでしょうか。機種によってはカメラ本体側面のUSB端子に繋ぐ場合があるのですが、これがブラケットを使用し縦構図の場合使用し辛らい事態も。こんな場合はワイヤレスリモコンが使用出来ると便利ですよね。
まとめ
最後にわたしが星景撮影で使用しているミラーレス一眼カメラα7Ⅲを簡単にご紹介します。
ソニーα7Ⅲを使用して良かった点をまとめると以下の様になります。
- 高画素に強い
- 画像編集と保存に丁度良い画素数(約2420万画素)
- 星景写真撮影で使いたいレンズがある
- バッテリーの持ちが比較的良い
- もちろん昼間の撮影でも十分高性能
カメラ選びに必要な要件を色々と書いてきましたが、カメラ選びには相性みたいなものもが有るんですよね。正直自分の願いを全て満たしてくれるカメラなんてそう有りません(笑)。
その様な中でまず重要なのは高画素に強いことと、それと意中のレンズが使用出来るカメラであることです。
少しでも納得出来るカメラ選びが出来れば幸いです!
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