今回は画像圧縮方式の一つ、HEIF形式(ヒーフ)とは何か?について書き記します。
比較的新しい画像ファイルフォーマットです。馴染のあるJPEGとの違いは、圧縮効率が高く(約1/2程度若しくはそれ以上)高画質(10bit対応)であることが特徴です。SONY α7S III・α7ⅣをはじめCANON EOS R5・EOS R6など最近ではHEIF対応のデジタルカメラも徐々に増えています。
- 静止画像の圧縮方式(拡張子「.heif」/「.heic」)
- ◎ JPEGよりも高圧縮・高画質
- ▲ JPEGよりも互換性に劣る
一見良いことだらけに思えるHEIF形式ですが、運用面では互換性の問題など注意も必要です。HEIF形式の特徴と合わせて、ソニーの一眼カメラα7Ⅳを例としたメリット・デメリットも併せてお伝えします。
※本記事はMacメインの内容になっています。ご了承ください。
Mac / iPhoneでは身近なフォーマット 〜 HEIF形式
HEIF形式について耳目に触れることは少ないと思いますが、実際は身近なところで使われています。スマホではiPhone7以降から高効率フォーマットとして採用されており、最近のギャラクシーでもHEIF形式対応のものが有ります。
iOSのカメラの設定機能で『高効率』と『互換性優先』を選択できます。
- 高効率でストレージ容量を節約するなら・・・HEIF/HEVC
- 互換性を優先するなら・・・JPEG / H.264
スマホのストレージ容量だけ考えるると『高効率』がベター。
メリット:HEIFのデータ量 〜 JPEGより格段に少ない
以下の被写体をソニーα7Ⅳの各画像フォーマットで撮影し、ファイルサイズを比較します。
ファイル形式 | サイズ |
RAW(ARW) | 40.2 MB |
JPEG(エクストラファイン) | 14.3 MB |
HEIF (4:2:2) | 4.5 MB |
HEIF (4:2:0) | 3.6 MB |
データ量はそれぞれ大きな差が出ました。iPhoneのHEIF形式のデータ量はJPEGの1/2程度と言われていますが、α7Ⅳ(4:2:0)ではその差が1/4弱に。これはストレージ容量に優しいと言わざるを得ません。
2つのHEIFの違いは?
・(4:2:2) ➡︎10bit 10億7374色
・(4:2:0) ➡︎ 8bit 1677万色
今回は(4:2:2)の方が階調豊かと言うことに留めておきます。
HEIF形式の画像を扱うには主に以下の2つの方法あります。
Macの写真アプリを使う
一番手軽なのが、Macの『写真』アプリでHEIF形式ファイルを読み込み、編集することです。
カメラメーカー純正アプリを使う(Imaging Edge Desktop)
HEIF形式の画像閲覧や編集はソニー純正アプリImaging Edge Desktopを用いますが、HEIF機能のアクティベーションには、カメラのシリアルナンバーを入力する必要が有ります。
誰でも使える訳ではなく、HEIF形式対応機材のユーザーのみが扱えるんですね。また一見良いこと尽くしに思えるHEIF形式ですが、JPEGと比較して不便なこともあり、以下に記載していきます。
問題点①:Imaging Edge DesktopのEditでは一部の画像編集機能の使用しか出来ない
Imaging Edge Desktopは、画像閲覧アプリのViewrと編集のEditと分かれていますが、EditのHEIF形式画像編集機能は以下に限られています。
- 画像の回転
- 周辺光量
- 表示制御
- トーンカーブ
- トリミング
- 傾き補正
またHEIF形式での保存は出来ません(JPEGかTIFFで保存)。
問題点②:Adobe Photoshop / Lightroomで現像出来ない
アドビライトルームで管理した画像をフォトショップで編集するワークフローの方は多いと思いますが、量アプリともHEIF形式は未対応。(2023.04現在)
フォトショップでもHEIFファイルを開くことが出来ませんでした。フォトショップでは展開出来るかと思っていたので、これには少々がっかり。
まとめ 〜 今、HEIF形式は使うべき?
- 互換性を無視しても、ストレージ容量を節約したい
- バックアップデータとして
- HDR(HLG方式)で撮影したい
画質に関しては詳細な比較はしていませんが、ぱっと見JPEGとHEIF画像の見分けはつきませんでした(自分の場合ですが)。
JPEGよりも遥かに少ないデータ量で済み魅力的なHEIF形式、本来なら積極的に使いたいところです。しかしアプリの対応状況等を鑑みると未だユーザーを選ぶ状態と言えそうです。
私はα7Ⅳで、記録データの振り分け(SLOT1:RAW / SLOT2:HEIF 若しくは RAW/HEIF)で使う程度ですかね。あくまでもHEIF形式はバックアップ目的としてです。
逆にJPEG一発撮りでノーレタッチ・純正アプリ派であれば、HEIFを使う価値は十分有ります。またHEIFではHDR保存も可能なので、HLG方式の撮影データが必要な場合、HEIF方式を選択することになります。
現状としては、自分の撮影・画像編集スタイルを考えながらHEIF形式の使用を検討した方が良いでしょう。後はアプリの対応状況次第ですね。
コメント