撮影用LEDライトを検討する際、メーカー・種類が多すぎて迷ってしまいますよね。今回は撮影用LED照明の選び方について書いていきます。
斯く言うわたしも、自宅のストロボからLEDライトへの変更を検討していたのですが、意外と理解していないこともあったり。
ストロボ選びとは異なるポイントが結構有るんだよね。
動画撮影用よりも写真撮影向きの記事になっていますが、選ぶ際の参考になれば嬉しいです。
LEDライトの選び方
その他、FX効果(ライトエフェクト)・周辺機器のアタッチメント(ボーエンスマウント)や放熱機構も使い方よって重要になってくるでしょう。
要点のみでは理解し辛いので、実際の製品Godox、Litemons LAシリーズを例にチェックしていきます。
GodoxのLED照明と言えば SL150W II(150W/58,000lux)が定番でしたが、2022年にLitemons LAシリーズがラインナップ。言わば廉価カテゴリーに属する製品群ですが、個人的にはこちらの方が使い勝手が良さそうな感じ。今回の購入検討候補に急浮上したビデオライトなのです。
GODOX | LA150Bi | LA150D |
---|---|---|
参考価格 | ¥30,498 | ¥26,084 |
出力 | 190W | 190W |
CRI | 96 | 96 |
TLCI | 97 | 97 |
WB | 2800-6500K | 5600K |
明るさ リフレクター付※ | 66600 lux | 84800 lux |
サイズ リフレクター無 | 205*145* 215mm | 205*145* 215mm |
重さ | 1.4kg | 1.4kg |
遠隔制御 | Godo xLight APP | Godo xLight APP |
GODOX | LA200Bi | LA200D |
---|---|---|
参考価格 | ¥41,572 | ¥36,035 |
出力 | 230W | 230W |
CRI | 96 | 96 |
TLCI | 97 | 97 |
WB | 2800-6500K | 5600K |
照度 リフレクター付※ | 79200 lux | 101000 lux |
サイズ リフレクター無 | 205*145* 215mm | 205*145* 215mm |
重さ | 1.4kg | 1.4kg |
遠隔制御 | Godo xLight APP | Godo xLight APP |
出力
まずは出力(W数)から。一般的には製品名に出力が用いられることが多く、大体の目安にはなります。おおよそ60W・100W・200Wで区切られることが多く、勿論W数が大きいほど高出力で高額になります。
こんなことを言いつつ、上記LA150Biは150Wではなく190Wです(LA200Biは230W!)。いきなり変化球でしたが、こんなことも有るので要注意です。
演色性 〜 CRI / TLCI
演色性とは、ライト(光の性質)が被写体の”色”の見えに及ぼす能力を指しますが、これには様々な評価方法が存在し、CRI / TLCIはその一つ。
Litemons LAシリーズのスコアはCRI 96、TCL I97です。
CRI
- 平均演色評価数(Ra)
- 特殊演色評価数(Ri)
CRIの中には平均演色評価数(Ra)や特殊演色評価数(Ri)のインデックスが有り、家庭用照明器具のスペックでRa80やRa90の表記を目にすることがあるかもしれません。
CRI(演色評価数)は、R1〜R8の8色を用いての評価します。各色0-100の値で光が被写体の”色”の見えに及ぼす能力を定量的に表しており、100に近いほど見え方が自然(演色性に優れている)と言うことになります。
Raは淡いパステル調の色合いで構成されているんだよね。
Riはビビッドな色合いが含まれています。
最近自宅用として検討している(勿論撮影用途ではありません)LEDシーリングライトなのですが、Ra85とRa90のモード変更が可能なんですよね。
一般住宅の蛍光灯はRA60、LEDライトはRa80で十分とされているのですが、Ra90の高演色モードで室内の物体色をより美しく見せてくれる優れモノなのです。
ここで注意点ですが、高演色であるRa90だから写真やビデオ撮影に向いているかと言うと、そうとも言えない場合があること。
例えば平均演色評価数(Ra)の淡い色合いだけでは、例えば肉や魚の赤身のフレッシュで鮮やかな色合いを出すのが困難な場合が生じます。
そこで登場するのが特殊演色評価数(Ri)であり、赤色(R9)〜肌色(R15)が加えられたものが制定されています。
どちらかと言うと、人間の”目”から見た自然な見え方を基にしたRa。住宅や店舗照明設計には用いられますが、映像製作(カメラ側の”目”からの評価)には適さない面も持ち合わせています。
数値が高いだけで、撮影向ライトと思わない方が良いんだね・・・
TLCI
そこで登場するのが映像製作寄りの評価方法TLCI(Television Lighting Consistancy Index)です。
カメラ➡︎ディスプレイの色再現性を数値化した(CRI同様0-100の値で100が色再現性に優れる)もので、こちらのインデックスもチェックしておくと良いでしょう。
CRI・TLCIの目安は?
現在流通しているLEDビデオライトではCRI95〜97/TLCI95〜98のものが殆どで、値だけで判断すればどれを選択しても問題なさそうです。
実際、撮影用ライトを、わざわざ低い値で売り出すメーカーも無いと思うので(疑っている訳では有りませんが・・・)あくまでも値は目安として、実際に使用してみないと分からないと言うのが個人的な印象です。
色温度 〜 デイライト or Bi-Color(バイカラー)
色温度が固定か?それとも変更可能なタイプが良いか?は一番重要なポイントかも。私は以前このことを正しく認識しておらず機材選びに失敗しました。
撮影用LEDビデオライトは一般的に以下の様な色温度の仕様になっています。
- デイライト 5600K固定
- バイカラー 2800-6500K可変
ここで検討したいのが、バイカラーが本当に必要か?という点です。
ホワイトバランス変更により映像表現の幅が広がることは確かです。
一方、バイカラーの弊害として、デイライトタイプよりも暗くなってしまいます。
GODOX | LA150Bi | LA150D |
---|---|---|
WB(色温度) | 2800-6500K | 5600K |
明るさ リフレクター付※ | 66600 lux | 84800 lux |
これは表現方法によりますが、被写体の心情や各種シーンを様々なカラーで表現したい、時間経過を出したい場合バイカラーはとても有効です。
一方、太陽光の色温度のみで十分(必要に応じてカラーフィルターを併用)もしくは絶対的に光量が重要な場合、デイライトの方がベターです。
室内でのブツ撮りがメインの場合、F8程度に絞って撮影するので、とにかく明るさを重視したいところです。
明るさ(照度)〜ルクス(lux)
明るさを表す単位は幾つか有りますが、ルクス(lux)は光の照射面の明るさを指します。つまり被写体が照らされた明るさになります。
撮影の快適性に影響するところなので、照度能力はとても重要です。
GODOX | LA150Bi | LA150D |
---|---|---|
照度 リフレクター付※ | 66600 lux | 84800 lux |
GODOX | LA200Bi | LA200D |
---|---|---|
照度 リフレクター付※ | 79200 lux | 101000 lux |
また動画とスチル撮影用途では求められる明るさは異なり、絞って撮影することの多い静止画ではより大きな照度が必要になります。
写真撮影に必要な照度は?
さて写真撮影に必要な照度はどのくらいでしょうか?
ここでは自宅にあったNEEWER 660 PRO LEDを例にしてみたいと思います。
こちらの2200 LUX / 1Mの照度は静止画撮影用として正直物足りなさを感じます。
写真は660 PROを用いた撮影例です。
WB5600K 照度100%で被写体のユンボのミニチュアから約1000㎜の高さにライトをセッティングしています。
カメラ側の設定はISO100 絞りF8です。この時のシャッタースピードは1/8が適正値でした。
焦点距離90〜100㎜のレンズを使った場合、1/8のシャッタースピードはかなりスロー言えます。
三脚とリモコンを使えば問題なく撮影出来ますが、やはり最低でも1/80程度シャッタースピードは確保したいところです。
この状況を基にGODOXのライトで選択する際、一番大光量のLA200D(レフ付きで101000lux裸で約8000luxと勝手に予想)が良さそうな感じです。
その他チェックポイント
- サイズ・重さ
- 通信手段(専用リモコン/Bluetoothアプリ)
- ボーエンスマウントや付属のアンブレラホルダーは使いやすそうか?
Godox LAシリーズの重量は幸い1.4kgと軽量ですが、他メーカーの200Wクラスでは3kg弱の場合も。安定感のあるライトスタンドを用意する必要もあります。
また専用リモコンを使用する場合、技適の認証の有無も要注意。海外製品には技適認証が無い製品も意外と流通しているので、無線機能が必要な場合はチェックしておきましょう。
Godox LAシリーズではGodo xLight APPを用いスマホやタブレットでの制御が可能なので、こちらの方が便利かもしれませんね。
アンブレラホルダーが装着している機種もありますが、中には使い辛そうな位置にある機種も。ただしこの点は2次的な要素なので、あくまでもライトの能力を重視した方が良いでしょう。
まとめ
以上撮影用ビデオライトの選び方でした。以前は10万円以上を覚悟しなくてはいけませんでしたが、最近はエントリーグレードで求めやすい製品も多くなっています。
動画撮影の必需品であるLED照明ですが、写真撮影用としても積極的に検討しても良いと思いました。
今回例としたGodox製LEDライトの中で、自分が写真撮影用として使うならデイライトタイプのLA200Dになりそうです。
やはり照度の大きさが重要だね。
デフューザーやバウンスで光量は弱まるしね。
コメント
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