気がつけば、手元には50mmレンズばかり・・・
同じ焦点距離のレンズが何本も必要なのかと思われてしまいそうですが、結局は手に入れてしまい・・・これは正に病気です。
自己弁護する訳ではありませんが、昔から個性的で様々なキャラクターが存在するのもこの焦点距離。知ってしまうと1本では満足出来なくなる世界、それが50mmレンズなのです。
今回はソニー・Eマウント『Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z』のレビューです。
ZEISSの名を冠したソニーのレンズ、その写りは如何に!サンプル写真を交えながらご紹介していきます。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Zについて
基本的にはドイツのカール・ツァイス社のレンズなのですが、実際には様々なメーカー及びフォーマットで生産されています。
とても長い歴史を持つレンズですが、日本ではフィルムカメラ時代のCONTAX用標準レンズというイメージが強いかも知れません。
現代のデジタル用としては、日本のメーカー「コシナ」からMF専用レンズとして製造販売されていますが、ソニー・Eマウント用は何とオートフォーカス対応レンズ!
プラナーがオートフォーカスで使用出来てしまうなんて!今でも夢の様に思えてしまうことも。これはソニー・Eマウントのメリットの一つと言っても良いでしょう。
スペック
レンズ構成 (群-枚) | 9-12 |
開放絞り (F値) | 1.4 |
最小絞り (F値) | 16 |
絞り羽根 (枚) | 11 |
円形絞り | ○ |
最短撮影距離 (m) | 0.45 |
最大撮影倍率(倍) | 0.15 |
フィルター径 (mm) | 72 |
外形寸法 最大径x長さ (mm) | 83.5 x 108 |
質量 約(g) | 778 |
大まかなスペックは上記の通りですが、質量が778gと50mmレンズとしてはかなり大型。
以前使用していたMFキヤノン用「Planar T* 1.4/50 ZE」の質量が330g。AF機能が搭載されてことを加味してもかなり重く感じてしまいます。
製造メーカーが異なるキヤノン用と比較すること自体おかしいのですが、レンズ構成は6群7枚ではなく9群12枚に王幅増量!何やら凄いことになっていますね。
さらに販売価格も約18万円弱と、歴史的かつ手軽な標準レンズ、プラナーの面影は全くありません。
購入前、このままポチッとして良いのか・・・庶民には迷うところですが、ここは前進あるのみ!?と言うことで我が家に迎い入れることになりました。
使用感
AFレンズでありながら、フォーカスリングに手抜き無し
一般的にAF機能搭載レンズのフォーカスリングの感触は良いものではありませんが、本レンズのそれは異なります。
リングを回転させると適度なトルク感が有りかなりの好感触。リング自体のサイズも大きいので滑りそうな金属でも操作性は良好です。動画を撮る場合にも使いやすそうです。
また絞りリングは「クリックON/OFF切り換えスイッチ」を搭載、こちらも動画撮影に配慮した設計になっています。
AFは十分実用レベル
オートフォーカスに関しては爆速では有りませんが十分なスピードを有します。精度も問題ありません。
撮影サンプル
開放F1.4から十分な解像力
プラナーはCONTAXとCANON EFレンズ用を使用してきましたが、開放付近は柔らかな描写が特徴でした。
ところが本レンズ「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z」は絞り開放から十分な解像力を有し、伊達に大型化している訳では無いと納得させてくれる絵になっています。
以下に上の写真の腕時計の部分を中心に等倍切り出ししたものです。ピントは「SEIKO」ロゴ部分に合わせています。
f/1.4開放では、比較すれば若干柔らかいかなというレベル。あくまでも等倍での解像感なので通常の鑑賞では十二分に耐えられます。
開放でのフリンジは若干発生しますがごく僅かの量です。かなり抑えられていて優秀です。
開放での性能は正直今まで使用してきたプラナーとは別次元です。
f/2.8から f/4.0にかけての解像度は急激に向上する印象です。上の写真ですがf/8.0ではカリカリです。私の場合、普段は等倍鑑賞まではしないので今回改めて検証してみて本レンズの性能に驚いてしまいました。
濃厚な色味
もちろんカメラ側の出す色の影響も有りますが、コントラストが高く濃厚な印象の色味です。
製造するメーカーが異なってもやはりここはツァイスのカラーなのでしょうね。
周辺減光はそれなりに有り
上の写真はLightroomでプロファイル補正をかけたもの。下の写真が補正無しです。
青森県八戸市の「館鼻岸壁朝市」で撮影した一枚です。余り材の畳へりを使用した手提で岩手県洋野町の畳屋さんが「畳工房いたばし」さんで作られている手提がとても印象的でしたので撮らせていただきました。
家内も友人も大喜びで手に入れていましたよ。きっと海外の方にも人気なんでしょうね。
ご覧の通り絞り開放での周辺減光はそれなりに発生しますが、私は写真に合わせて補正したりしなかったりです。この辺は特に問題ないかと。
ボケ味良好
ボケはとてもなだらかで綺麗で、前ボケも柔らかく表現されています。
以下の写真では玉ボケの出具合を確認しています。
玉ボケですが開放での口径食はそれなりに発生します。f/2.8位から落ち着いてくる感じです。玉ボケに年輪は発生していません。
F1.4 光量が少ないシーンでも心強い味方
高感度が強い最近のカメラですが、絞り開放F1.4から使えるのは夜のお散歩にも持って来い。
開放f/1.4から十分使用出来るので、夜間や早朝の光量が少ないシーンでも活躍してくれます。
薄暗い古民家の中、戸を締め切って屋内を燻しています。こんな時に開放f/1.4は心強い味方。
これは最近のカメラの高性能化によるものですが、夜間のAFでのピント合わせがし易くなっているのでMFのプラナーには戻れなくなるかも・・・
歴代プラナーにはそれぞれの良さがあるのですが、やはり現代的な機能性と写りの両立はとても魅力的です。
モノクロ撮影も楽しい
リッチなトーンが特徴の本レンズ、モノクロでも結構良い描写をしてくれます。
まとめ
主観ですが、本レンズは今まで使用してきた50mmレンズの中で最高の1本です。個人的には単なるプラナーではなくプラナー特別版のような位置付けです。
但し、常に重い本レンズを持ち歩けるかと言われると微妙なところも。レンズ1本勝負で撮影に出かけられる程ストイックではない私、やはりもう少し軽量な50mm標準レンズが欲しくなったりします。
ソニー・Eマウントの50mmレンズは「FE 50mm F1.8 SEL50F18F」が存在します。質量も186gと軽量です。
しかし常用可能な開放f/1.4の魅力とリッチな色合い、ここぞという時に持ち出したくなるのが本レンズ「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z」なのです。
SEL50F14Zを手放すことは無いと思いますが、Gマスター50㎜ F1.2の誘惑が・・・αEマウント恐るべしです・・・。
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