ソニー(SONY)の交換レンズ、Planar T* FE 50mm F1.4 ZAとFE 50mm F1.4 GMのどちらを選んだ方が良いか?について書いてみます。
結論から申しますと、今なら新しいFE 50mm F1.4 GMをお勧めしたいです。
でもPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAの魅力も今だに健在なので悩ましいところ。この記事では両レンズの魅力に触れながら、皆様のお悩みの解決の一助となることを目指します。
デジカメとレンズは大体新しい方が良いよね!
でもレンズはそうとも言えない場合もあるよね。
両方欲しくなっちゃう場合もあるかも・・・
両レンズの特徴を簡単に解説
長らくEマウント50㎜単焦点レンズの雄として君臨してきたPlanar T* FE 50mm F1.4 ZA(以下ZAと省略)ですが、FE 50mm f1.2 GMやFE 50mm f1.4 GM(以下GMと省略)の登場により影が薄い存在になってきたのも事実。
歳の差約7年。以前なら7年前のレンズなら古さを感じることも無かったのですが、最近はソニーに限らず新レンズの進化が半端ないんですよね。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA | FE 50mm f1.4 GM | |
---|---|---|
発売日 | 2016 | 2023 |
ZAの発売時もその進化に感動したのですが、今回のGM、機能的には飛び級レベルの進化を遂げています。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA | FE 50mm f1.4 GM | |
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重さ | 778g | 516g |
サイズ | 83.5×108 mm | 80.6×96 mm |
フィルター径 | 72 mm | 67 mm |
両者の質量差は262g。数値的にさほど大きくないのすが、実際にカメラに取り付けるとZAはかなり大きく感じます。またGMのフィルター径は67㎜で、小型レンズをメインにシステムを組んでいる場合はこちらが有利と言えます。
ZAはガラスの塊感を感じる造りで、カメラに装着しているだけでその気にさせてくれるレンズ。一方GMの質量は516gと、50mm単焦点レンズとして軽量とは言えせんが、画質と以下の機能を両立させています。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA | FE 50mm f1.4 GM | |
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最短撮影距離 | 0.45m | 0.41m(AF)/0.38m(MF) |
最大撮影倍率 | 0.15倍 | 0.16倍(AF)/0.18倍(MF) |
リニア・レスポンスMF | ◯ | ◯ |
絞りリングクリック ON/OFFスイッチ | ◯ | ◯ |
フォーカスホールドボタン | ー | 2カ所 |
アクチュエーター | ダイレクトドライブSSM | XD(extreme dynamic)リニアモーター2基 |
手ぶれ補正 アクティブモード対応 | ー | ◯ |
ブリージング補正機能対応 | ー | ◯ |
GMは新しい製品だけあり、静止画・動画両方に配慮した設計です。『手ぶれ補正のアクティブモード対応』や『ブリージング補正機能』などは今どきですよね(カメラによって対応しない場合があります)。
以前は快適に感じていたZAのオートフォーカスも、GMを知った後では物足りなさを感じます。F値が暗くなる程AFのスピード差は大きく感じてしまいます。
フォーカスリングの操作感はZAが優勢で、ヌルヌルとた動作はMF専用レンズの如く上質。GMも決して悪くはないのですが、ZAと比べるとスカスカした回し心地です。
殆どAFでの撮影だから問題ないか。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA | FE 50mm f1.4 GM | |
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使用レンズ | ・高度非球面AA(advanced aspherical) ・非球面レンズ ・ED(特殊低分散) | ・超高度非球面XA(extreme aspherical) ・ED(特殊低分散) |
コーティング | T*(ティースター)コーティング | ナノARコーティング II |
レンズの構成に関して、GMは『超高度非球面XA』が用いられています。ちなみにZAは『高度非球面AA』で”超”が付いていないタイプです。
研磨が非常に難しい形状の非球面レンズの表面を、0.01ミクロン単位という高い精度で管理することで生まれた超高度非球面レンズです。非球面レンズで発生しやすい輪線ぼけを大幅に低減し、美しいぼけ味を損なうことなく高い解像感を実現します。
SONY
私は光学の知識はゼロなのですが、この辺が良い仕事をしているんだなと思いつつ以下の解像感チェックに進みたいと思います。
解像感
めっちゃ地味ですが、新聞の株価欄で解像感をチェックしてみましょう。
▲ こちらはZA絞り開放F1.4で撮影したもの。同様の撮影をGMでも行い、周辺『赤枠部分』の画質を比較してみます。ZAでもそこそこの歪曲が有りますね。
▲ 拡大するとGMの方が優れた結果に。ZA方の字はぼんやりと眠い描写と言えます。
▲ 一応中央部も比較ておきましょう。
中央部に関して、は「両者同程度にシャープであろう」と勝手な想像をしていたのですが、こちらも結構差がでました。この結果はZAが劣ってる印象を与えますが、ZAだって十分高精細なんですよね。オールドプラナーと比較したら格段の違いがありますし、これほど極端な拡大画像を凝視することはほぼ有りません。
▲ スプレー缶を、それぞれのレンズ開放値F1.4で撮影。ZAでも開放から十分実用可能なレベルです。
▲ ZA開放F1.4で撮影しましたが、こんな写真であれば解像力不足は感じず。こんな雨の日にはプラナーを持ち出したくなるんですよね。ちょっとだけトリミングしています。
耐逆光性能
逆光の影響は光の入射角によって異なるので単純比較は出来ないのですが、ZAの『T*コーティング』はかなり検討しています。一方GMの『ナノARコーティング II』は逆光時のコントラストの低下がかなり抑えられており、とても使いやすいレンズになっています。フレア・ゴーストの出方には好みが有るので優越はつけ難いですが、耐コントラストに関してはGMの方が優位に感じました。
歪曲収差
歪曲収差をチェックします。またもや株式欄が続きますがごめんなさい。
ZAはかなり歪曲が抑えられているのに対し、GMは樽型の歪みが結構強く出ています。この辺は割り切った設計なんでしょうね。
像面平坦性に関してはプラナーの方がが優秀だね。
しかし両者とも歪曲補正を前提に考えておいた方がよいでしょう。
最近のレンズは補正が前提なので、歪曲性能は特にネガなポイントではありません。Lightroomならプロファイル補正で十分な補正効果が得られます。
ボケ具合
▲ 出典:SONY FE50mm F1.4 GM
ボケ具合は各人の許容差によるところが大きいですが、私にとってはGMのボケは十分美しいと言えます。
▲ 最短撮影距離が0.41m(AF)/0.38m(MF)と短いのもFE 50mm F1.4 GMのアドバンテージ。寄ってボカしての表現時には大活躍です。フルーツパフェを頂いた時の写真ですが、シャープさとボケが両立され正に美味しい表現になりました。ちなみに生駒農場さんのフルーツパフェ、果物てんこ盛りでめっちゃ美味しかったですよ。
両レンズを同じ被写体で撮り比べてみました。
ボケに関しては、僅差でZAの方が好み。GMはスーパーシャープな分、背後のボケの輪郭がクッキリとした印象があります。玉ボケはZAの方がきれいな形状です。でもブラインドテストでは見分けられる自信がないです。
まとめ:Planar T* FE 50mm F1.4 ZAとFE 50mm F1.4 GM どっちが良いの?
これから選ぶなら新しいFE 50mm F1.4がおすすめ
これから50mm単焦点レンズの購入を検討するなら、予算が許せばFE 50mm F1.4 GMがおすすめ。
- 小型軽量516g
- 開放から十分使えるキレの良い画質
- AF:高速で静か
- 写真から動画までオールマイティ
Planar T* FE 50mm F1.4 ZAで表現力不足を感じることは無いのですが、AFのスムースさ等、トータルの使い勝手はかなりGMが優位です。また軽さは正義と言えるので、長時間の撮影ではGMの516gに助けられます。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZAが良い場合は?
- 描写が好み(コントラスト・ボケ具合など)
- 重さは平気だ
- 動画性能は重視しない
- 質感の高いレンズが使いたい
プラナーの描写が気に入って仕方がない!またZEISSが好きだ!そんな方はPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAで逝ってしまいましょう。最近のレンズには珍しいメタリックな鏡胴で、所有する喜びも味わえます(フードがチープなのが残念ですが)。
最新のFE 50mm F1.4 GMはトータルでの満足感が高いレンズです。Planar T* FE 50mm F1.4 ZAは機能面での古さは否めませんが、写りはやはり一級品。両者とも趣向が異なるので、両方手元に置いておきたいと言うのが正直な気持ちですが、一本選ぶならオールマイティなFE 50mm F1.4 GMと言うのが今回の結論でした。
最後にはFE 50mm F1.2 GMが欲しくなるんだな。
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