写真を趣味にする際に、どの様なカメラを買って良いのか本当に迷ってしまいますよね。一番大事な価格の他にメーカーやイメージセンサーサイズの違いが挙げられるのではないでしょうか。今回は数種類あるイメージフォーマットの内の一つであるマイクロフォーサーズ(マイクロ4/3)について書いていきます。
私はマイクロフォーサーズとフルサイズを併用しているのですが、マイクロフォーサーズの性能は年々UPしており、メインとしてサブ機としても使える規格になっています。今回はフルサイズと比較しながらマイクロフォーサーズを使用する上でのメリットについて書いていきます。
Point
他のフォーマットと比較してイメージセンサーサイズが小さいマイクロフォーサーズですが、実際の撮影ではメリットの方が多いのです!
マイクロフォーサーズについての話をする前に、センサーサイズの違いについて簡単に書いておきます。詳しくは以下の別記事をご覧ください。
イメージセンサーのサイズについて
イメージセンサーは画像を記録する、人間の目に相当するとても重要な装着です。このサイズによってフォーマット(マウント)が決まっていきます。一般的にはセンサーサイズが大きい程高価格になる傾向があります。
主用なイメージセンサーサイズは以下の5つです。
フォーマット | サイズ(mm) | 代表的なカメラ |
フルサイズ | 36×24 | α7Ⅲ・EOS5DⅣ |
APS-C | 23.6×15.8 | EOS80D・α6400 |
マイクロフォーサーズ | 17.3×13.0 | E-M1 MarkII・G9 |
1インチ | 13.2×8.8 | 高級コンデジ |
1/2.3インチ | 6.2×4.6 | デジカメ・スマホ |
フォーマットの名称って判りづらいですよね。呼称を全部インチサイズで統一してくれた方が分かりやすいと思うことも。
上の写真でお分かりになると思いますが、両機種のイメージセンサーの大きさは全く異なります。
フルサイズセンサーに対してマイクロフォーサーズは面積比で約1/4程の大きさ。イメージサークル(対角長)はフルサイズと比較して約1/2になります。
焦点距離の説明で「フルサイズ換算」という表現があります。この場合マイクロフォーサーズの焦点距離を2倍にするとフルサイズ換算での焦点距離になります。
マイクロフォーサーズ用25mmレンズをフルサイズに換算すると50mm標準レンズということだね!
マイクロフォーサーズとは?
イメージセンサーの大きさの違いを理解したところで、マイクロフォーサーズ規格についてお話します。
元々KodakとOLYMPUSの間でデジタル一眼レフカメラのオープン規格としてフォーサーズが提唱されます。これがミラーレス仕様として発展したのが、マイクロフォーサーズです。
フォーサーズ自体は35mmフィルムからデジタルへの移行期に提唱された規格なのですが、センサーサイズを大幅に小型化したのが特徴でした。
マイクロフォーサーズのメリットを以下に箇条書きにしました。
メリット・デメリットを挙げていくとメリットの方が多いんですよね。「それじゃーフルサイズよりマイクロフォーサーズを使っちゃえば良いよね!」ということになるはずなのですが、悩んでしまうポイントがあるのです。
マイクロフォーサーズで悩むポイント
上記はマイクロフォーサーズのデメリットと言ってしまえばそうなのですが、物理的に仕方がないボケの量が少ない点以外の性能面では、最新機種では以前のもの製品よりもかなり改良されています。
基本的には適材適所で機材を使用出来れば良いのですが、一つのフォーマットだけを選ぶとすれば迷ってしまいますよね。
悩むと思われる点をもうちょっと掘り下げていきましょう。
ボケ量の換算表(絞り値の比較)
フルサイズ | APS-C | マイクロ4/3 |
F2 | F1.4 | F1 |
F2.8 | F2.0 | F1.4 |
F5.6 | F4.0 | F2.8 |
F8.0 | F5.6 | F4.0 |
ご覧頂いてお分かりのとおり、マイクロフォーサーズとフルサイズの絞り値の差は約2段分。この差を大きいか小さいか、またそもそも普段の撮影でどれほどボケを重視するか否かによって自ずと選択が変わってくるところです。
以前フルサイズの明るい単焦点(50mm f1.2レンズ)を買った時のことです。嬉しくて最短撮影距離でボケを活かした(と言うか活かそうとした)写真を撮ろうと絞り開放でシャターを切りまくっていました。しかし撮れた写真は単に主題しかない(若しくはボケ過ぎて主題すらはっきりしない)写真の量産という悲惨な結果に。
主題を活かしつつ背景も程良い情報量(ボケ量)で周囲の状況を説明するにはマイクロフォーサーズでも十分に感じる様になったのです。その他にパンフォーカスでの撮影が多くなる風景写真・建築写真でも使い易いです。
マイクロフォーサーズが向いている被写体
以下にマイクロフォーサーズ向きの被写体をまとめます。
- 風景撮影
- マクロ撮影
- テーブルフォト
- スナップ撮影
一方フルサイズを使用していて良いな~と感じるのは人物を撮影するときです。
私はモデル撮影をすることはあまり無いのですが、親戚の子供やイベントの撮影ではやはりフルサイズは重宝します。ポートレイト作品で被写体の背景がよりなだらかにボケてくれるのもフルサイズの魅力です(勿論レンズにもよりますが)。
フルサイズが向いている被写体
- ポートレイト
- 星景写真
- 建築写真
- 商品撮影
- 素材写真
シフトレンズ等の特殊レンズを使用する場合はフルサイズがオススメ。最近はLightroom等でのデジタルの補正でもかなりの作業は行えますが、元データがしっかりとしていた方が安心な場合も多いですよね。
上の写真はマイクロフォーサーズのG9 Proで撮影しました。フルサイズ向きでの光景ですが十分綺麗に撮影出来ました。15秒間露光ISO640ですが、ISO800〜ISO1600までなら問題なく常用可能なレベルです。
それでもマイクロフォーサーズも良いと思う訳
結局はどのフォーマットを選ぶにしても適材適所なんですよね。
上でも述べたようにシフトレンズなどの特殊レンズを使用したり、ポートレイトでの極限のボケ等が必要ないのであれば、マイクロフォーサーズをメイン機として使うのも十分アリです。
以下にその理由を箇条書きにしてみました。
・最新機種は高感度性能が良くなり画素数もUP
・魅力的な機材とレンズが豊富〜F値の明るいレンズもラインナップ
・比較的安価にシステムが組める
・機材の軽量化が計れる(特に望遠レンズ使用時)
・手ぶれ補正が強力で三脚が必要ない場合も
最新機種は高感度性能が高く画素数もUP
最新機種での高感度性能の改善は目覚ましいものがあります。
自分は通常ISO400迄での使用が多いのですが、最近のマイクロフォーサーズ機であばISO1600まで十分実用可能なレベルです。場合によってはISO6400までは使える印象です。
画素数に関しても既に必要十分なレベルに達していると感じます。
Panasonic G9 Proでは有効画素数が2033万画素と初代のCANON EOS 6D(初代)の画素数約2020万画素数と同等レベルに。これだけあれば作品撮影でも困ることは無いでしょう。
魅力的な機材とレンズが豊富!
センサーサイズという物理的な問題により、どうしてもボケの面では不利になってしまうマイクロフォーサーズ機ですが、F値が明るいレンズもラインナップされています。
例えばフォクトレンダー NOKTON 25mm F0.95はマニュアルフォーカス専用レンズですがF0.95という驚異の明るさ!最短撮影距離も0.17 mとフルサイズの50mm標準レンズ(一般的には最短撮影距離0.45mが多い)と比較して圧倒的に寄れます。
上の2枚の写真はNOCTICRON 42.5mm F1.2で撮影しました。フルサイズのボケ量には及びませんが、それは較べればの話。ボケ量も個人的には十分、かつボケ自体もなだらかで美しいです。
Panasonicからは LEICA 社ブランドの高性能レンズ、ライカDGレンズ(通称パナライカ)が使えるのも魅力的ですね。OLYMPUSのレンズとは異なる柔らか目な描写が個人的には気に入っています。
他にも魅力的なレンズが多くラインナップされているので、レンズ選びに困ることは無いでしょう。というか選択肢が多すぎて逆に困ってしまうかもしれませんね。
ボディに関しては OLYMPUS とPanasonicが中心ですが、両メーカーそれぞれ特徴のある機材を発売しています。
OLYMPUSのカメラは過酷な使用条件に耐える防塵防滴ボディに定評がありますよね。実際に比較したことは無いのですが、フォーサーズ時代に使用していた機種では豪雨時の撮影でも平気でした(基本的には保護することが必要ですが)。
Panasonicの動画に特化したGH5など、他のフォーマットには無い製品が販売されています。一眼で動画を撮る方も多くなっているので選択の幅は広まりますよね。
比較的安価にシステムが組める
フルサイズでシステムを組むとこれがかなりの支出になってしまうんですよね・・・。趣味の世界なので仕方が無いと言えばそうなのですが、やはり限りある財源は有効に使いたいもの。
以下にボディに標準ズームと望遠ズームレンズをセットで揃えた場合の金額を表にしてみました。比較の対象として釣り合っていないというご意見もあるかもしれませんが、個人的なオススメということでご了承ください。
SONY α7Ⅲの場合 | 金額 |
ILCE-7M3 ボディ | ¥225,051 |
FE 24-105mm F4 G OSS | ¥148,131 |
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS | ¥287,469 |
合計 | ¥660,651 |
Panasonic G9 Proの場合 | |
LUMIX DC-G9 ボディ | ¥134,946 |
LEICA 12-60mm/F2.8-4.0 | ¥95,790 |
LEICA DG 50-200mm/F2.8-4.0 | ¥182,020 |
合計 | ¥412,756 |
※金額は2019年11月現在のカメラ専門店の価格です。価格は変動しますのであくまでも参考としてご覧ください。
こうして計算してみると、「カメラって高いな・・・」と痛感。上記の例でフルサイズとマイクロフォーサーズを購入した場合の金額の差は¥247,896とかなり大きく差が出ています。
実際にはG9 Proにはレンズを単品で購入するよりお得なレンズキットが存在しますし、ボディにはもっと安価な選択肢が沢山あります。
差額で交換レンズ広角レンズ・マクロレンズ・三脚まで揃えることが可能になってきます。この辺は十分に検討する価値がありそうです。
機材の軽量化が計れる(特に望遠レンズ使用時)
撮影機材は小さすぎての使い辛いこともありますが、やはり小型軽量は重要ですよえね。Panasonic G9 Proはフルサイズ一眼並の大きさですが、レンズを含めたシステムで全体で考えるとかなりの軽量化が計れます。
齢重ね撮影機材が重く感じる昨今としてはマイクロフォーサーズは心強いパートナーに。登山や旅行では持って来いのシステムです。長期の海外旅行であれば間違いなくこちらを持って出かけます。
機材の重さで一番差が出るのが望遠レンズを装着した時です。
参考までにSONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSと LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.Sを並べたのが上の写真です。かなり大きさが異なりますよね。
VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 | FE 100-400mm F4.5-5.6 GM | |
サイズ | 76x132mm | 93.9x205mm |
フィルター径 | 67mm | 77mm |
重量 | 655g | 1395g |
※繰り返しにはなりますが、比較対象の問題があるかと思いますがLEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0の描写にはかなり満足しているので敢えて比べています。
これくらいの大きさの差があるとカメラバッグへの収納は勿論、持ち歩く際の疲労感はかなり違います。重量は倍近くの差がありますしね。
それとフルサイズ望遠レンズの場合テレ側300mm迄はあるのですが400mmのズームは中々ないんですよね。自分の場合100mmの差が結構大きくて、航空機の撮影時にはやはり最低でも400mmが必要に感じことが多いんですよね。高画素のフルサイズであればトリミングという手もありますが。
まとめ 写真は回り道?
色々と書いてきましたが、無理をしてフルサイズを購入しなくてもマイクロフォーザーズ機メインでも満足出来る写真は撮ることは十分可能です。
これは自分の勝手な印象なのですが、マイクロフォーサーズはカメラ初心者の方だけでく、ベテランの方も多く使用されている様に感じます。画質と機材のバランスが絶妙なフォーマットなんですよね。
但し別な世界を覗いてみたくなるのも人の性。もしフルサイズが気になったのであれば是非一度試してみてください。その際にはマイクロフォーサーズ機は下取りにいれず手元に残すことを強くオススメします。サブとしてもメイン機でもOK。両方使ってみると更にマイクロフォーサーズ機の使い勝手の良さを感じることが出来るはずです!
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