今回はGFX用中間リング『マクロエクステンションチューブ MCEX-45G WR』を使用し近接撮影に挑戦します。マクロ撮影について検索すると、必ずヒットするエクステンションチューブ。構造は単なる”筒”で、安価かつ手軽感もあり検討したくなりますよね。この記事では実際に近接撮影をしながら、その使い勝手とメリットついても触れていきたいと思います。
今回の使用機材はGFX用ですが、理屈と使用感は他のフォーマットと同じです。エクステンションチューブでのマクロ撮影方法について気になっていた方の参考になれば嬉しいです。
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ご注意!〜やはりマクロレンズの方が使いやすい
まず最初に注意事項から。注意予算があるならエクステンションチューブは購入しない方が良いかと。
マクロレンズを買うのが無難かと
もちろん接写リングのメリットもあるけど、基本的には同意
もしマクロレンズを購入予定なら、そちらがおすすめ。もちろんエクステンションチューブを利用したい場面、理由(後述)もあるのですが、やはりマクロレンズの方が使い勝手、描写にも優れています。もちろんどうしても欲しいなら止めませんが(笑)せっかくエクステンションチューブを購入したけど、使用しなくなった・・・というのは良くある話なのです。
回り道をして結局マクロレンズを買うんだよね
エクステンションチューブとは?
ここではマクロエクステンションチューブについて簡単に確認しておきます。
レンズの最短撮影距離よりも被写体に寄った撮影を可能にするアイテムなのだ
無限遠が出ない・ピントの合焦範囲が狭いなどの制約もあります
正直、マクロレンズの方が使いやすいよ
いつもより被写体に寄りたい、さらに大きく撮りたい・・・そんな願望を叶えてくれるのが以下の3つのアイテム。
- マクロレンズ・・・無限遠⚪︎・合焦範囲が広い・汎用性が高い・高価
- クローズアップレンズ・・・レンズの前面に装着・合焦範囲は狭い・画質に影響を及ぼす
- エクステンションチューブ・・・無限遠 ×・合焦範囲が狭い・安価
エクステンションチューブの取り付け方法は、カメラとレンズの間にチューブ(筒)を接続するだけ。別の名を、中間リング、接写リングなどと呼ばれることもありますが、同じ意味です。内部がレンズで構成されるテレコンバーター(テレコン)と異なり、エクステンションチューブは中が空洞の単なる筒(チューブ)状のアイテムです。
▲ 富士フィルム「マクロエクステンションチューブ MCEX-45G WR」
見かけはマウントアダプターの様で、中身は空洞。
エクステンションチューブ選びのポイント〜電子接点の有無
- 絞りをカメラ側からコントロールできる
- オートフォーカスに対応
- EXIFデータが保存される
購入するら電子接点付きがおすすめ。
カメラで露出設定が行え、普段と同じ手順での撮影が可能です。Nikon Gレンズの様に絞りリングが無いレンズの場合、電子接点無しでは手間要します。「カメラにレンズを取り付け、絞り値を設定」→「その後エクステンションチューブを取り付けて撮影」こんな感じ。
毎回決まった設定で繰り返し撮影するならよいのですが、撮影テンポの面で不利になります。オートフォーカス性能は実際に使用してみないと分かりませんが、レンズ単体で使用時と同様のAF性能は期待できません。
但し純正品だと意外とAFが使える場合もあったり!
でも基本的にはマニュアルフォーカスでのピント合わせを前提にしておいた方がベター
絞りリングのあるNikon Dタイプやクラシックレンズなら電子接点がないタイプでOK。但し安価な製品は精度が悪くガタが生じたり、自分で加工する必要に迫られる場合も。これは高い製品でも同様で、当たり外れがありますよね。
キットレンズ「GF35-70mm」で近接撮影してみる
ここでは富士フィルムの「GFX50S II」とキットレンズ「GF35-70mm」に45mm『マクロエクステンションチューブ MCEX-45G WR』の組み合わせで近接撮影を行います。他に18mmの『MCEX-18G WR』も存在しますが、GFXでは等倍撮影が可能なマクロレンズがなく、撮影倍率の大きい45mmを使用しています。
予備知識として、エクステンションチューブを装着した場合の最大撮影倍率と撮影距離を確認しておきます。嬉しいことに富士フィルムの製品情報にはこれらが記載されており、引用させていだだきました。
GF35-70mmレンズ単体時(参考)
最大撮影倍率 | ワーキング ディスタンス | 撮影距離 | |
ワイド側 | 0.14 | 249 | 350 |
テレ側 | 0.28 | 249 | 350 |
18mm中間リング装着時(参考)
最大撮影倍率 | ワーキング ディスタンス | 撮影距離 | |
ワイド側 | 0.68 | 63 | 183 |
テレ側 | 0.59 | 140 | 260 |
45mm中間リング装着時
最大撮影倍率 | ワーキング ディスタンス | 撮影距離 | |
ワイド側 | 1.48 | 36 | 183 |
テレ側 | 1.04 | 96 | 243 |
上記の様にエクステンションチューブの長さにより撮影倍率は大きく異なります。もちろんマスターレンズによっても大きく異なるので、こちらのスペックも確認しておいた方が良いでしょう。45mmの中間リングの場合ワーキングディスタンスが短くなるので、かなり被写体に寄って撮影する形になります。ワイド側だとレンズフードは外す必要が生じます。
ワーキングディスタンスとはレンズ先端から被写体までの距離のことだね
撮影光景はこんな感じ。
ワイド側で撮影
▲ ワイド側(広角側)の撮影距離は183mmにつき、ほぼレンズ先端付近でピントが合います。レンズフードは取り外す必要が有り、使い勝手も悪く実用的ではありません。ピントは目の部分に合わせていますが、合焦範囲はネコの耳部分程度まで。日写深度はかなり浅いです。またライティングに苦労する距離感です。
▲ ワイド側での撮影結果。最大撮影倍率1.48の等倍超えなのでなかなかの顔デカにゃんこになりました(笑)。
テレ側で撮影
▲ テレ側(望遠側)での撮影光景です。撮影距離は243mmで、まだ実用的な距離です。
▲ テレ側の撮影結果。最大撮影倍率1.04なので等倍マクロレンスと同等の仕事をこなしたことになります。このネコの置物の様に単調な被写体なら従分な描写に思えますが、他の被写体ではどうでしょう?実は良い時も、そうでもない時もあったりします。以下の作例をご覧ください。
作例
ではサクッと作例を。GFX50S II+GF35-70+MCEX-45G WRの組み合わせです。GF35-70が有れば他のレンズを買う必要を感じなくなる、価格の割に性能が良すぎる不思議レンズ。唯一の欠点を挙げると近接での解像感がイマイチなところ(欲を言えばの話です)。このレンズであえてマクロ撮影しましたが、AFも結構使えてびっくり(笑)。
▲ 雨の日のハエ ピントはハエの眼に合わせたつもり。ハエの撥水力すごいんですね!羨ましい〜。
▲ ハエの部分をトリミング キットレンズとして十分な写りと言えますが、欲を言えば複眼部まで解像して欲しいと思ったりしますが、これは高望み。素直にマクロレンズ使った方が良い被写体ですからね。
▲ 花びらの水滴をふんわりと撮影。こんな感じのイメージカットなら問題ないかなと。
▲ じめっとした画が続きますが、また水滴。フリンジの発生もありますが、良くも悪くもマスターレンズの特性を引き継ぎます。
結論としては、GF35-70の組合せではシャープさと解像感はイマイチでしたが、マクロの世界の雰囲気は伝わる感じ。でも作品撮りならやはりマクロレンズが欲しくなりますよね。
エクステンションチューブのメリット・デメリット
エクステンションチューブはたまにマクロ撮影する方に特におすすめ。またお気に入りレンズの、好きな描写そのままで近接撮影がしたい場合にも適しています。マクロレンズは精彩な描写が多いですが、描写が固く感じる場合もあるんですよね。※注意「画質の劣化が無い」書きましたが、テレコンの様に間にレンズを挟まないので理論上はそうなのですが、レンズとしては想定外の範囲でピントを合わせているので、画質が悪くなった様に感じる場合もあります。
▲ GF80mm F1.7にMCEX-45G WRを装着し撮影。少しピントが甘いですが、背景のボケはマスターレンズの良さが生かされています。マクロレンズだと硬質な描写になる場合も有るので、作品の世界観に合わせて使い分けするのも面白いですよね。
▲ エクステンションチューブを非装着で撮影したのがこちらの画像。最短撮影距離70cm付近で撮影、最大撮影倍率は0.15倍です。
やはり被写真度が極端に狭いのがマクロレンズとの違いです。またマクロレンズにフォーカスリミッター機能が搭載されていると、AFでの撮影を手助けしてくれます。更にスナップや風景写真でも使えるメリットもあります(但しAFは遅い場合が多い)。でも基本的にマクロ撮影はマニュアルフォーカスでピントを合わせるものと認識していた方が気がでしょう。
まとめ〜あると心強いエクステンションチューブ
▲ 別レンズGF20-30mm F4で撮影 広角側だと45mmのチューブは使用出来ない。
マクロレンズよりも制限が多いことを理解していれば、マクロエクステションチューブは面白い存在でしょう。撮影に出かけるとき、マクロレンズを持ち出すのは躊躇いがちですが、小さなチューブを忍ばせておけば気休めにもなります。反対にマクロ撮影の頻度が高いなら、やはりマクロレンズを購入した方が幸せになれるはずです。
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