ソニーのミラーレス一眼カメラα7R Ⅴ とα7Ⅳとで。購入前に悩み迷うポイントに絞って比較します。
性能と価格も全く異なる両機、本来なら直接の比較対象ではないのかもしれません。でも最新技術が詰め込まれたα7R Ⅴは気になる存在ですよね。
まずざっくりとした結論としては・・・
価格も含めて総合的にはα7Ⅳがおすすめ。但し高画素に耐えられるPC・ストレージ環境(それと予算)が構築されていれば、α7R Ⅴは是非検討していただきたいです。かなりの高画素ですが、強力な手ぶれ補正も相まって手持ち撮影も十分可能、受け入れ環境が整っていれば十分常用可能です。
現実的にはベーシックなα7 Ⅳで十分なのだ。
でも、α7R Ⅴ の機能性(特にAF)の高さを知ってしまうと・・・
SONYのプロモを見ると、α7R Ⅴに惹かれる〜
すんごー!
でも少し冷静になって考えてみましょう。
そんな訳で両カメラの違いをおおまかにチェックしつつ、迷った時の道標とさせて頂ければと思います。
基本スペック 〜 画素数・サイズ・バッテリー持ち具合
まずは基本性能をさらっと抑えておきましょう。
- 画素数:有効画素数約6100万画素
- サイズ:そこそこ重い約723 g(バッテリー・メモリーカード含む)
- スタミナ:α7 IVに劣る
α7R V (ILCE-7RM5) | α7 IV (ILCE-7RM4) | |
撮像素子 | 35mmフル(35.7 x 23.8 mm) Exmor R CMOS | 35 mmフル (35.9 x 23.9 mm) Exmor R CMOS |
カメラ有効画素数 | 約6100万画素 | 約3300万画素 |
総画素数 | 約6250万画素 | 約3410万画素 |
本体質量(バッテリー・メモリカード含む) | 約638 g(約723 g) | 約573 g(約658 g) |
外形寸法 (幅 x 高さ x 奥行) | 約131.3 x 96.9 x 82.4 mm 約131.3 x 96.9 x 72.3 mm (グリップからモニターまで) | 約131.3 x 96.4 x 79.8 mm 約131.3 x 96.4 x 69.7 mm (グリップからモニターまで) |
使用電池 | NP-FZ100 | NP-FZ100 |
静止画撮影可能枚数 *21 | ファインダー使用時: 約440枚 液晶モニター使用時: 約530枚 | ファインダー使用時: 約520枚 液晶モニター使用時: 約580枚 |
実動画撮影時 *22 | ファインダー使用時: 約90分 液晶モニター使用時: 約100分 | ファインダー使用時: 約100分 液晶モニター使用時: 約110分 |
6100万画素は持て余す?〜使い方によっては大丈夫、頼れる手ぶれ補正も有るし。
有効画素数約3300万画素のα7 Ⅳでも、自分にとっては十分高画素。対するα7R Ⅴは何と6100万画素!でも最近感覚が麻痺してきたのか、抵抗感が無くなってきました・・・。
画素数に対する感覚がおかしくなってきている・・・
シャッター数が少ない、データ断捨離が得意な方には、
大きな問題ではないかもしれない。
それと、8.0段の高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正の存在もポイントですね。
α7R Ⅳでも手持ち撮影が可能でしたが、確かにα7R Ⅴでは手ぶれ補正機能の向上を感じます。但し8段分の効果は鈍い自分には感じ取れていません(苦笑)。この辺は個の技量にもよるところですね。
ロスレス圧縮RAWでのやりくりも検討しながら選択すべし。
質量は〜かつてのレフ機と変わらないレベル
α7R Ⅴ は質量723g。軽量ミラーレスカメラのイメージから外れ、昔のレフ機(例:Aマウントα77 Ⅱは726g)と変わらないレベルの重さに。グリップが小さく、塊感の有るデザインは好みが分かれるところですが、ゲージの装着など今時の事情を考慮すると、これが正解なのかもしれません。
バッテリーの持ちは悪化
α7R Ⅴ は撮影中バッテリー残量に気を遣う必要がありそうです。まあ、EVFや液晶モニターも改善されていますからね。一日通して撮影するには、予備は必須です。でもα7Ⅳでも予備は必要なので、ここは慣れるしかないですね。
そろそろ改良バッテリーの開発もお願いできれば嬉しいわ。
オートフォーカス・ドライブ
- AIプロセッシングユニット搭載でAFが賢過ぎる
- 高画素機だが、そこそこ連写にも対応できる
α7RV (ILCE-7RM5) | α7 IV (ILCE-7RM4) | |
画像処理エンジン | BIONZ XR | BIONZ XR |
AIプロセッシングユニット | ● | ー |
瞳AF 被写体認識AF | 人物 (左右瞳選択可) 動物 (左右瞳選択可) 鳥 昆虫 /車・列車 / 飛行機 | [静止画] 人物 (左右瞳選択可) 動物 (左右瞳選択可) 鳥 [動画] 人物 (左右瞳選択可) 動物 (左右瞳選択可) 鳥 |
測距点数(点) | 35mmフルサイズ時: 693 フルサイズレンズ装着且APS-C読み出し時: 693 | 35 mmフルサイズ時: 759 フルサイズレンズ装着且APS-C読み出し時: 713 |
連続撮影速度 | Hi+時: 最高約10コマ/秒 Hi時: 最高約8コマ/秒 Mid時: 最高約6コマ/秒 Lo時: 最高約3コマ/秒 | Hi+時: 最高約10コマ/秒 Hi時: 最高約8コマ/秒 Mid時: 最高約6コマ/秒 Lo時: 最高約3コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | JPEG Lサイズ エクストラファイン: 1000枚以上 JPEG Lサイズ ファイン: 1000枚以上 JPEG Lサイズ スタンダード: 1000枚以上 RAW: 583枚 RAW+JPEG: 184枚 RAW (ロスレス圧縮): 547枚 RAW (ロスレス圧縮)+JPEG: 159枚 RAW (非圧縮): 135枚 RAW (非圧縮)+JPEG: 88枚 | JPEG Lサイズ エクストラファイン:1000枚以上 JPEG Lサイズ ファイン: 1000枚以上 JPEG Lサイズ スタンダード: 1000枚以上 RAW: 1000枚以上 RAW+JPEG: 1000枚以上 RAW (ロスレス圧縮): 1000枚以上 RAW (ロスレス圧縮)+JPEG: 1000枚以上 RAW (非圧縮): 1000枚以上 RAW (非圧縮)+JPEG: 828枚 |
AIプロセッシングユニット搭載のα7R Ⅴ のフォーカス、確かに良い!〜昆虫・車・列車・飛行機まで認識!!!
つい最近、旅客機撮影にα7R Ⅴ を使用する機会があったのですが、長方形のAF枠がビョーンと航空機を追尾するのには驚きでした。自分の様な普段飛行機を撮らない人間が挑戦する際には、かなりの助けになってくれます。
重要
α7R Ⅴに新たに内蔵されたAIプロセッシングユニットが与えるAFへのメリットは大きく、被写体の認識能力は、上位機種のα1よりも高いのは悩ましいポイントです。
AIプロセッシングユニット搭載のα7R Ⅴ か、そうでないα7Ⅳかで迷うポイントだね。
2023年10月に発売のα7C II・α7CRもAIプロセッシングユニットが搭載になるね。
α7Ⅳに新AIプロセッシングユニットが搭載されていれば最強だったのに!と正直思うのですが、リリースが新しい機種に部がありましたね。
連写速度は両者変わらず、連続撮影可能枚数はα7Ⅳが上
連続撮影速度は両者とも同じで、メカシャッターで最高約10コマ/秒(Hi+時)。但し『撮影設定によって最高連写速度が異なる』との注意書きがある通り、使用するメモリーカード等の条件に依存するので、あくまでも最大値として捉えてください。
連続撮影可能枚数は、RAW撮影でα7Ⅳが圧倒しています。しかしα7R Ⅴ でもRAW (ロスレス圧縮)撮影時に547枚が確保されており、特段デメリットとも言えないスペックです。
連写しまくりでなければα7R Ⅴは十分かと。
動画性能
- 8K 24pに対応(但し1.2倍にクロップ)
XAVC HS 8K | ||
7680 x 4320 (4:2:0, 10bit) | 24p | ー |
XAVC HS 4K | ||
3840 x 2160 (4:2:0, 10bit) | 60p 24p | 60p 24p |
3840 x 2160 (4:2:2, 10bit) | 60p 24p | 60p 24p |
XAVC S 4K | ||
3840 x 2160 (4:2:0, 8bit) | 60p 30p 24p | 60p 30p 24p |
3840 x 2160 (4:2:2, 10bit) | 60p 30p 24p | 60p 30p 24p |
α7R Ⅴ では8K 24pの撮影が可能に(但し1.2倍クロップ・S&Q撮影NG)。日常だとまだ遠い世界に感じる8Kですが、編集で4Kに切り出すことも可能。持ち技が増えるのは喜ばしいことですね。
8K使わないと思っていたけど、素材用動画としては良いかも。
ところで、8KとXAVC HS 4K 60p 対応の記録メディアは大丈夫かな・・・
持ってないな・・・。
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かめら以外にも必要な出費が多くなるのもα7R Ⅴの特徴です。α7Ⅳの性能をフルに引き出そうとしてもそうですが・・・
ちなみにα7R Ⅴの放熱構造が強化されおり、動画撮影での安心感が高まっているのも嬉しいポイントです。
EVF・モニター
- 液晶モニター・EVFの性能UP
- 他のαユーザーから羨望の的4軸マルチアングル液晶モニター
α7R V ILCE-7RM5 | α7 IV | |
ファインダー | ||
EVF形式 | 1.6 cm (0.64型) Quad-XGA OLED | 1.3cm(0.5型) Quad-VGA OLED |
総ドット数 | 9 437 184 ドット | 3 686 400 ドット |
視野率 | 100% | 100% |
倍率 | 約0.90倍 | 約0.78倍 |
液晶モニター | ||
形式 | 8.0 cm (3.2型) | 7.5 cm (3.0型) |
ドット数 | 2 095 104 ドット | 1 036 800ドット |
稼働方式 | 4軸マルチアングル液晶モニター | バリアングル液晶モニター |
角度調整機能 | 開き角度: 上約98 °、下約40 °、横約180 ° 横開き位置での回転約270 ° | オープン角:約176°、チルト角:約270° |
意外と便利 〜『4軸マルチアングル液晶モニター』
背面液晶モニターの稼働方式はα7Ⅳのバリアングルで十分に感じていましたが、α7R Ⅴ の『4軸マルチアングル液晶モニター』を使うとやっぱり良かったです。可動部品が多いので耐久性には不安を感じつつも、光軸からのズレが少なくやはり快適です。
そして画素数も2,095,104 ドットにUP!ようやく他社と肩を並べる様になりました。これにはお喜びの方も多いかと思います。
意外と良いぞ 〜 高画素EVF
正直私、EVFに関しては「そこそこ見えれば良い」的な人間。バッテリーの持ちは悪くなるし、構図とピンとさえ掴めれば良しとするスタンスでした。
(余談)α900のファインダー良かったな・・・
しかし、α7R Ⅴ のEVF、とても見やすく気持ちが良く、以前よりもファインダーで撮る機会が増えました(苦笑)。今後は時代の流れに逆らわない様にいたします・・・。
見やすい液晶モニター・EVFは撮影のモチベーションが上がりますね。
まとめ
- 連続撮影可能枚数・バッテリーライフ・価格以外は、ほぼ後発のα7R Ⅴ の方が優れる
α7R V ILCE-7RM5 | α7 IV (ILCE-7RM4) | |
発売年月 | 2022/10 | 2021/12 |
参考価格 2023年8月 カメラ専門店の販売価格 | ¥480,550 | ¥322,580 |
機能面に於いて、多くの面で後発のα7R Ⅴ が優れているのは既に承知の通りでしょう。今回の迷いの懸案をまとめると下記の様に。
- α7Ⅳでも十分高性能、でもα7R ⅤのAF性能が羨ましすぎる。
- 6100万画素に耐えうる周辺環境か(PC性能・ストレージ量)?
- 差額で交換レンズや照明機材に投資した方が撮影の幅が広がる場合も。
新しい製品が高スペックなのは工業製品では仕方がないこと。それにしても「α7R Ⅴ は結構盛ったな〜」と言うのが個人的印象です。日常の撮影で6100万画素が必要ないけど、目移りしてしまいまう方も多いかもしれませんね。
次期α7Ⅳ後継機にAIプロセッシングユニットは確実だと思いますが、モデルチェンジのスパンが3〜4年としても、それはちょっと先になりそうです。でも冷静に考えれば、α7Ⅳで困ることはそうそう無いはずですし、現在でもバランスに優れたカメラです。最後の最後に結論としては・・・
- 高画素は特に必要ない
- 高感度性能も重視したい
- まだまだ必要なレンズ、周辺機材がある
- PCやストレージなどの周辺環境が整っている
- やはり高画素・高解像度が必要〜大判A1・A2などでクッキリプリントしたい
- 最新の被写体認識AFが作品制作に欠かせない機能である
ありきたりですが、こんな結論です。作品展などで、A3ノビならα7Ⅳで十分高精細に展示出来ますが、A2で高解像プリントするならα7R Ⅴも選択肢に入れた方がよいでしょう。繰り返しになりますが、α7R ⅤがAF面で突き抜けた感がありますが、α7Ⅳも十分現役で活躍出来るカメラなので安心して使用してください。勿論、用途が合えばですが、今後発売予定のα7C II・α7CRなどの新機種をチェクしてみるのも良いでしょう。
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